重大な決断は一人でしないといけない
息子さんの意見を聞きたいという気持ちはよくわかります。私も、夫の生前はいつも、「夫と相談してから決めます」と言っていたからです。また、一人でビジネスを始めたときは決断するのが怖くて、先輩経営者の意見を聞いてから決断していました。
たった一人きりで重大な決断をするのは不安なものです。信頼できる人の意見を聞いて、一緒に考えてもらってから答えを出したいと思うのは自然なことかもしれません。
しかし、特にビジネスにおける決断、あるいは自分自身の今後の生き方を左右するような決断については、自分の声に耳を傾け、自分で決めるべきだと私は考えています。
たとえ息子さんから何かしらの意見を言われても、仲間から意見を聞いて迷ったとしても、最後に決めるのは自分。なぜなら、自分の人生を生きていくための「地図」は、他の誰でもない自分自身が描かなければならないからです。
「決断」と「行動」が人生を切り開く
私は、クライアントが決断をあまりに迷うようなら、こちらからプロデュースをお断りするようにしています。クライアントを説得したとしても、自主性がなければ良い結果にはつながらないからです。
先のクライアントさんが、「息子に相談しようと思います」とおっしゃった時点で、私は、「この方は、自分ですべき決断を、誰かに委ねるのだな」と感じました。
ご本人は、これで3時間を超えるミーティングが終わるとほっとしたご様子でしたが、しばらく経ってから後悔したかもしれません。
今後も、私以外の誰かに相談するためにお金を使い、それでも決断ができず、時間とお金を浪費するかもしれません。
もちろん、誰しも初めから決断力や行動力を持っているわけではありません。決断、行動し、失敗を重ねて、ようやく自分なりの力が身についていくものです。
私自身、これまでも何度も「人生の新しい扉」を自分で開きながら、その過程で決断力を養っていきました。
ゼロから美容業界に飛び込んだときも、三重から上京したときも、単身でモナコに移り住んだときも、目の前の暗闇に差し込む一条の光を頼りにチャレンジしたことで、私の人生は少しずつステージアップしていったのです。
なぜ、それが可能だったのか?
私がしてきたことは、2つだけです。
それは、「決断」と「行動」です。
人に相談し、アドバイスを受けることもありましたが、最後には必ず、自分で決めて、自分で動いてきました。
迷いに迷って、ここではないどこかや誰かに答えを求めても、正解は自分の心の中にしかありません。
「いつか絶好のタイミングがやってくる……」と待っていても、「いつか」はやってきません。
大切なのは、自分で自分の生き方を決めること。
モナコに移り住んで、日々たくさんの大富豪と接していると気づくのですが、誰一人として、自分の人生を他者に決めてもらおうとはしません。大きな決断も小さな決断も、必ず自分で決めるのがルールなのです。