お金持ちが寄付をする理由

2019年4月15日、フランス・パリにあるノートルダム大聖堂で、大規模な火災が発生しました。主要な構造物は消失を免れたものの、高さ90メートルを誇る尖塔や屋根などが崩落したことは、多くの人を驚かせ、悲しませました。

ただ、火災のあとほどなくして、大聖堂の再建に向けて、日本円にして1100億円を超える寄付が、あっという間に世界中から集まりました。

資産家や企業家の中には、お金を稼ぐこと以上に「精神性」を高めていくことを大切にしている人たちがたくさんいます。私はこのとき、「本当に豊かなお金の使い方とは何か」についてあれこれ考えました。

「お金があるから、寄付なんてできるんだよ」
「高収入だから、寄付できるんだよ」

そんな声も上がりました。私も、日本にいた頃はそう考えていました。

でも、モナコに暮らして多くの豊かな人と出会ううちに、「彼らは、資産に余裕があるから寄付しているわけではないのかも」と思うようになりました。

お金があっても、寄付しない人は寄付しません。

お金がなくても、寄付する人は寄付します。

その違いはどこにあるのでしょう?

「困っている人を見つけたらすぐに助けたい」
「人を笑顔にしたい」

そんな思いを持っているかいないかで決まると思います。

モナコ在住の起業家プロデューサーで美容家のエミチカさん
写真=筆者提供

子どもの頃から誰かの幸せのために仕事(お手伝い)をしてきた彼らは、誰かが窮地に陥ったときに、最善を尽くして手を差し伸べるのが当たり前になっています。その価値観を持ち続けているからこそ、成功しているではないでしょうか。

素晴らしい未来を手繰り寄せる秘訣は人を笑顔にすること

「お金があるから◯◯する」ではなく、「◯◯するからお金が入る」。

「お金が貯まったら◯◯をする」という条件付きの考え方がありますが、それではいつまでたっても状況は変わりません。

モナコの人たちは、金額の大小は関係なく、そのとき自分にできることを全力で行なって、周囲の人たちに幸せを与え続けています。

「お金が手に入ったら……」
「◯◯ができるようになったら……」

エミチカ『結局、「手ぶらで生きる女」がうまくいく』(PHP研究所)
エミチカ『結局、「手ぶらで生きる女」がうまくいく』(PHP研究所)

そんな「先延ばし思考」では、豊かさを逃します。

できることは先延ばしせず、今ある自分のエネルギーを使って周りの人の力になっていくこと。それが結果的に、富も豊かさも、理想の未来も、手繰り寄せるのではないでしょうか。

自らが動くことによって周りが変わり、人から応援されるようになり、めぐりめぐって自分のもとにお金が入ってくる。

私は、想像以上の素晴らしい未来を手繰り寄せる秘訣ひけつは、自分の最善を尽くして周りの人を笑顔にすることなのだと確信しています。

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