モナコのお小遣いは「お手伝い制」が基本

その日の食事中の話題は、「子どものお小遣い」でした。

私が、「日本では、お小遣いは親が金額を決めて、毎月子どもに手渡すのが一般的よ。私が子どもの頃は、祖母の家に遊びに行くだけでお小遣いをもらったりしていたわ」と話したら、彼女は驚いていました。

モナコの子どもたちは、家のお手伝いをして初めて、「素晴らしい仕事ぶりだね。ありがとう!」という感謝の言葉とともに、お小遣いがもらえるのだそうです。家庭によって違いはあるでしょうが、モナコのお小遣いシステムのスタンダードはお手伝い制。

幼児がお掃除するのを乳児を抱えながら手伝う父親
写真=iStock.com/Halfpoint
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子どもたちは小さいときからお手伝い、つまり仕事を通じて誰かを幸せにすることを実践し、仕事の基本を学んでいきます。

また同時に、「誰かを幸せにすれば、お金を得ることができる」というビジネスの原則も身につけていくのです。

お手伝いをして大人から感謝された子どもたちは、「他に何ができるかな?」「どうしたら喜んでもらえるかな?」と考え始めます。そして、「バスタブをきれいにしてみよう」「蛇口もピカピカにしたら素敵かも」と自発的に動く人間に育っていきます。

その姿は、仕事の工夫をしながらお客さんを喜ばせようとする大人顔負け。経営感覚、金銭感覚を、お手伝いを通じて自然と養っています。

そんなふうにして、働かなければ子どもたちもお金がもらえないというルールになっているそうなのです。

お金は、待っていたらもらえるものではない

私が、「なぜお手伝い制なの?」と聞くと、彼女はこう答えました。

「お金というものは、待っていればもらえるものではなく、誰かを幸せにすると、もらえるものだから」

これはまさに、「どうやったらお金を稼ぐことができるの?」の答えですよね。

仕事をして誰かを幸せにしたら、お金がもらえる。

持っているものを欲しいと思う人に手渡すことで、お金がもらえる。

ユーチューバーとして多くの人を喜ばせたから、お金が入ってくる。

お金を得るためのアクションは、いつも自分からスタートすべきもので、「周囲に幸せを与えている人」が豊かになっていくものなのです。

モナコでは、子どもの頃からその習慣を身につけていきます。そのためか、モナコの人たちは人を喜ばせることが大好き! 働くときも、どこか楽しそうな雰囲気があります。

「遊ぶように仕事をする」
「楽しみながら仕事をする」
「笑顔を作り出すために仕事をする」

モナコで暮らす人たちの楽しそうな姿は、いつもそのことを思い出させてくれます。