ツルハ、アインに続くドラッグストアの台風の目

書店の可能性を追求するのがリラィアブル(コーチャンフォー)なのに対して、ドラッグストアの可能性、さらにはその枠組みを超えようとしているのがサツドラホールディングスだ。

店舗外観
撮影=本田匡
店舗外観

サツドラホールディングスが掲げるビジョンは「ドラッグストアビジネスから地域コネクティッドビジネスへ」だ。域外に流出しがちなヒト・モノ・カネ・データ・ブランドといった地域資源を有機的につなぎ、地域の暮らしを守っていく姿勢を打ち出している。だからドラッグストアの枠にとどまらず、地域共通ポイントカード「EZOCA(エゾカ)」や電力販売、教育事業なども手がける。

地域とつながる戦略の中核を担うのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進だ。サツドラのドラッグストア約140店には天井に人工知能(AI)搭載カメラが配置されている。個人を特定せずに、来店客がどの商品を見たり、手に取ったりしたかを把握。来店客の人数や商品を見ていた時間、性別、年齢などのデータと、「エゾカ」の購買情報を組み合わせて分析している。

AIカメラは商品情報を紹介するデジタルサイネージにも搭載している。分析結果を踏まえてサイネージに流す情報を工夫する。例えば、子連れ客が多く来店する時間帯にはベビー用品をサイネージに反映する。効果的なプロモーションで買上点数の増加や、取引先メーカーからの広告収入にもつなげている。

利益を出しつつ社会的価値を高めるにはどうすれば…

サツドラの富山社長は次のように語る。

「2025年を境に、2000年以降に成人となったミレニアル世代が生産人口の過半数を超え、社会の価値観、体制が大きく変わっていく。消費の価値観が大きく変化し、社会的課題が大きく顕在化する中で、経済的利益と社会的価値をいかに両立させていくかということが重要になる」

白鳥和生『不況に強いビジネスは北海道の「小売」に学べ』(プレジデント社)
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地域コネクティッドビジネスの確立やDXでは様々な企業や自治体と連携し、多様なプロジェクトに着手している。2019年まで連結子会社だった北海道大学発AIスタートアップのAWL(アウル、東京都千代田区)と業務提携を続ける。

2021年7月には北海道銀行や石屋製菓などと「QUALITY HOKKAIDO」を設立した。2~3年以内に北海道全域で使える独自の地域通貨を創設するのが目標で、富山社長が代表理事に就いた。

富山社長は「サツドラの200店を含むエゾカの加盟店の会員205万人(2022年5月末)のデータをベースにデジタル化した中で、新たな地域通貨を実現し、地域プラットフォームをつくっていきたい」と話している。

2026年5月期までの中期経営計画では、①店舗の生活総合化戦略②地域プラットフォーム戦略③コラボレーション戦略――の3つの成長戦略を展開。連結売上高1200億円、連結営業利益36億円、営業利益率3%を目指す。生活サービスの実装は物販だけでなく、様々なサービスを紹介する窓口を設置することで「ライフコンシェルジュ」として地域の価値向上に寄与していく構えだ。