北海道の小売りはなぜ強いのか

小売業は「地域産業」だ。出店エリアに根ざさないと商売はできない。

リアラィブルの佐藤社長もサツドラの富山浩樹社長もその発言や経営に「地域愛」があふれている。

北海道の霧多布湿原
写真=iStock.com/wataru aoki
※写真はイメージです

人口減と高齢化がいち早く進んだ北海道は、日本の消費市場を先取りしているといわれた。北海道拓殖銀行の破綻から四半世紀、北海道の小売「ノーザンリテーラー」は成長力を増している。しかも、北海道で起こった独り勝ちが、全国規模化している。この2つの企業もニトリやツルハ、セコマに続くノーザンリテーラー候補となっているのだ。

ノーザンリテーラーの経営者には「地域愛」があり、人口減少や過疎化、物価高といった社会課題に敢然と立ち向かった。その結果、広大で希薄な人口、長い冬が「標準」となり、北海道に比べれば環境は穏やかで人口も肥沃ひよくな本州は戦いやすい土俵になっていった。「課題先進地」の北海道から新たな変革者が出てくる可能性は大きい。

メリルリンチ証券のアナリストだった鈴木孝之氏が、道内の不況で弱小企業の淘汰とうたが進む一方、業績を拡大する「独り勝ちの企業」が業種・業態ごとに誕生する様相を指摘。「ここで勝ち抜いた道内の小売業は全国に出て行っても勝てる可能性が高い」と分析した。これを「北海道現象」と名付けた。それから四半世紀が過ぎたが、「地域愛」を持ち、厳しい局面に敢然と立ち向かう若い経営者が育っている。ノーザンリテーラーの予備軍に期待したい。

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