ユニクロ ダイレクト事業部 高林千歌
1972年、大阪府生まれ。大学卒業後、小売業のネット通販部門などを経て、2007年、ユニクロに入社。おもにウェブマーケティングを手がける。


 

ユニクロが、販売促進に最先端のITツールを取り入れるのは、「次は何を見せてくれるのかという顧客の期待をひしひしと感じるから」だと、ユニクロのオンラインストアを担当する高林千歌さんは言う。

2009年11月21日に行ったユニクロ60周年記念の「FR60」キャンペーンでは、当時の最新ツール「ツイッター」を活用した。

「1日で2万人の登録者を獲得でき、予想以上の成功を収めました」

けれど、10年3月5日にオープンした「ユニクロ渋谷道玄坂店」の販促に同じ手法を用いたのでは「期待に応えられない」。そこで、手軽に生中継できるインターネットの動画配信サービス「USTREAM(ユーストリーム)」を使ってオープンの模様を実況中継する企画を考えた。

「リリースされて日が浅いツールで評価が定まらないうえ、英語版しかなく、お客様がログインしてくれるのかどうかもわからない。ツイッターで告知してもどれだけの人が見てくれるのか……。さんざん考えましたが、店舗オープン3週間前に『やる』と決めて提案しました」

ユニクロは「やると決めたのならやれ、その代わり結果を出せ」という社風。了承はすぐに得られ2週間前から本格的に動き出した。中継スタッフには番組制作のプロを起用、放送事故に備えて別の番組を用意した。それでも不安は残った。