病床数が多いほど一人あたり医療費も高い

なぜ、同じ医療保険・医療システムなのに、都道府県によって1人あたりの医療費がこれほど違うのでしょうか。

どの都道府県民も病気になる割合に大きな違いはないはずです。

同じ日本人なら、がんになる確率も、心疾患になる確率も大差ないでしょう。

ですから、このグラフは本来ならほぼ横一直線になっていないとおかしいわけです。

また、そもそも都道府県により病床の多い、少ないがあるのもおかしな話ですので、そう考えれば横一直線ではなく、各点が真ん中一点に集約されているべきです。

このグラフから見えてくるのは、病床数が多い都道府県ほど一人あたりの医療費もかかっている、という事実です。

病床を埋めるために病人が作られている

病床が増えれば増えるだけ入院患者が生まれてしまうわけです。

本来なら病気になる確率に地域差はないと考えられますから、言い方は悪いかもしれませんが、「病床を埋めるために病人が作られている」と受け取ることもできます。

病床の人
写真=iStock.com/gorodenkoff
病床を埋めるために病人が作られている(※写真はイメージです)

入院する・しない、の判断にはグレーゾーンが非常に多く存在します。

風邪から軽い肺炎になりかけの患者さんなら、毎日通院して点滴治療をしてもいいし、念のため入院してもいいでしょう。その判断は医師のさじ加減でもあります。

空きベッドを埋めなくては経営が維持できないという経済的事情があれば、さじ加減は自然に「入院」の方向へ偏っていくでしょう。

極端なことを言えば、医師は自分の病院傘下の高齢者施設の入所者を3カ月おきに検査入院させることだってできます。

施設で発熱した高齢者に「肺炎」という病名をつけて全例入院させることだってできてしまうのです。