こうしたがんじがらめの状況でも、部下を指導する立場にある以上、上司として伝えるべきことは伝えるという役割や業務の一環としての義務もあります。

ここで、大事なことは、悩みすぎて、うつ病になったりなど、あなた自身の心身における体調を崩さないことです。部下に対して「言うことをきいてくれない」「言うことをきかせなければ!」と落ち込んだり、躍起になっては、あなたの身がもちません。次にお伝えする内容を、楽しみながら実践してみてください。

怒鳴りつけたところで問題は変わらない

現在、注意をしたりしかったりすることに対して、それらが歓迎されない状況のなかで、問題のある部下と向き合うには、あなたの意識を「伝えるモード」に切り替える作業が必要です。

社内の連絡事項を告げるとき、感情的になる必要はありません。このことは先ほども少し触れました。部下の考え方や姿勢が間違っているときも、同じようにすればいいのです。淡々と必要なことを伝達すればいいわけです。

出社やオンライン会議などで遅刻をくり返している部下を、「また遅刻して! 何を考えているんだ!」と怒鳴りつけたところで、それが改善されることはありません。「遅刻はよくないよね。これからは遅刻しないように」といったやさしい言い回しでも、状況はそこまで変わらないでしょう。

それに「遅刻はよくないね」という言い方は、部下の行動の善悪を断じています。感情が込もっているわけですから、双方の気持ちが高ぶる危険も秘めています。

問題点をシンプルに伝えるだけでいい

部下の遅刻が社内ルールにそぐわないとか、周囲に迷惑をかけるなどの場合は、シンプルにそれを伝えるだけでいいのです。

「当社の始業時間は8時50分だから、これからは始業時間には即、業務開始できる体制をとってね。オンライン会議でもみんなを待たせないように」

これなら事実を伝えているだけですし、善悪のジャッジも下していません。感情的になる危険もないわけです。

伝えることで部下が問題点を自覚して、改善のために努力してくれれば、それで問題は解決します。しかる必要もなくなります。

ところが、すべての部下が変わってくれるとは限りません。上司である以上はどうしても、注意せざるを得ない場面もあるでしょう。こうした場面でトラブルを避け、部下に忠告を受け入れてもらうためにも、「注意・忠告・指導の注意点」を押さえておきましょう。