人間は怒りの感情がこみ上げても、6秒あれば静まるといわれています。怒りそうになったら深呼吸をするだけでも、冷静さを取り戻すことができるわけです。

洗練された大人であればあるほど、感情の起伏は表に出したくないもの。部下をしかったり注意したりするときも、感情的にならないように注意してください。

人前でしかることは百害あって一利なし

部下指導のNG行動の最後は、「③正当な理由があっても、人前で怒りの感情をぶつけない」でした。

私はマナーコンサルタントとして、中国人スタッフを多く抱える企業から、管理職研修を依頼されるケースがよくあります。このようなときに決まって伝えるのが、「しかったり注意したりするとき、絶対に人前は避けてください」ということです。

しかられるだけの理由があったとしても、それを人前で指摘されたら、部下のプライドは大きく傷つきます。中国人スタッフはこの傾向が顕著ですが、日本人であっても本質は変わりません。誰だってしかられている姿を、周囲に見られたくないのです。

人前でしかったり、注意をした瞬間、部下は心を閉ざします。あなたの忠告を受け入れることを拒むのです。やり取りを見ているほかの社員も、職場の空気を悪くしたことに対して、あなたにネガティブなイメージを抱くでしょう。

人前でしかったり、注意をしたりすることは、百害あって一利なし。ほかの人がいない場所やタイミングで伝えることも、上司としての大切なマナーです。

共感した上でしかる「ハンバーガー話法」

部下に忠告を受け入れてもらうためには、今の部下の境遇に共感した上で、しかったり注意・忠告をしたりすることです。そのためには「ハンバーガー話法」を駆使すると効果的です。

ハンバーガー話法とは、私が作った造語ですが、「①ほめる・共感」「②しかる・注意」「③励まし・信頼」の順に話すことです。

【図表1】共感した上でしかる「ハンバーガー話法」
まずは部下の立場に共感し、最後にポジティブに背中を押す「ハンバーガー話法」(出所=『知らないと恥をかく 50歳からのマナー』)