その占領政策は、いまもなお続いている。
それだけではなく、②に関してはより一層強化されているのではないだろうか。
1973年、当時のバッツ農務長官は、「日本を脅迫するのなら、食料輸出を止めればいい」と豪語したという。
また、アメリカのウィスコンシン州は農業が盛んな地域として知られているが、そのウィスコンシン大学のある教授は、農家の子弟向けの講義において、次のような趣旨の発言を行ったという。
「食料は武器であり、標的は日本だ。直接食べる食料だけでなく、日本の畜産のエサ穀物を、アメリカが全部供給するように仕向ければ、アメリカは日本を完全にコントロールできる。これがうまくいけば、同じことを世界中に広げるのがアメリカの食料戦略となる。みなさんそのために頑張ってほしい」
このアメリカの国家戦略は戦後一貫して実行されてきた。
それによって、日本人の「食」は、じわじわとアメリカに握られていったのである。
アメリカで学んだ学生が帰国して新自由主義を広める
アメリカが行ったもう一つの「洗脳」政策がある。それが、「留学生教育」だ。
アメリカは世界中から留学生を受け入れ、シカゴ学派的な市場原理主義経済学を彼らに叩き込んでは、母国に返していった。
東京大学経済学部では、アメリカで博士号を取り、現地で助教をつとめたくらいの人物でなければ、教員として採用されないくらいだったという。
そうした構造の中、アメリカで洗脳された人々が、日本に戻ってきては、一流大学で教え、市場原理主義の信奉者が増えていった。
また、それらの人材が大企業や官庁の中にも入り込んで、徐々に力を持っていく。
その結果、まるで寄生虫に頭を乗っ取られたカタツムリのように、日本政府がアメリカ流の新自由主義者たちに乗っ取られてしまった。
規制改革が社会全体の利益になると信じ込ませておいて、実のところ米国の多国籍企業の利益のために働くよう仕向けていたのである。