「登校しぶり」は最終段階のSOS

日頃、さまざまな相談を受けていると、子どもが登校をしぶることを「その子が悩み始めた段階」だと思っている人が多いのですが、その理解は間違っています。登校しぶりというのは、子どもが悩み抜いて疲れ果て、自分でできることはすべてやり尽くしたという、最終段階のSOSです。親御さんも学校の先生も、すぐに対応しなければいけません。

私はそういうお子さんに「どうしたの?」と聞きます。学校に行くか行かないかということを考える前に、まず子どもの話を聞くのです。聞いてみると、答えはさまざまです。勉強がしんどいという場合もあれば、友達や先生とのやりとりで何かつらい体験をしたという場合もあります。低学年くらいのお子さんだと、まだ考えをうまく言えなくて、駄々をこねるだけということもありますが、その場合もお子さんの様子をよく観察します。

そして、お子さんが「つらい」と感じている部分にどう対処できるかを考えます。そこに対処できなければ、学校に行かせても、お子さんにつらい思いをさせるだけだからです。

お子さんの様子を見て、いまは学校を休まざるを得ないと考えることもあります。お子さんのメンタルヘルスを守るのが私の仕事なので、お子さんや親御さんに「いまは休んでもいいんじゃないですか」とお話しすることもあります。

SOS
写真=iStock.com/Ville Heikkinen
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親ができること:ひとまず休ませて「どうしたの?」と聞く

家庭でも、同じように対応してよいと思います。朝、お子さんが登校をしぶっているのなら、その日はひとまず休ませることにして、ゆっくり時間をとって「どうしたの?」と聞いてみることをおすすめします。私は基本的に、登校をしぶる子には休息が必要だと考えています。親御さんにも毎日の予定があり、すぐに時間をとって対応するのが難しいこともあるでしょう。ただ、その場合にも例えば翌日にはお子さんの話を聞くような形で、何かしら対応してほしいと思います。

学校をしんどいと感じているお子さんは、親に励まされれば少し元気が出て、登校できることもあります。しかし、そうやって「一見、大丈夫」という感じで通っている子は、ある日パタッと登校できなくなってしまうことがあります。大丈夫なように見えて、ただ無理を重ねているだけということもあるのです。そうなる前に休息をとらせて、お子さんの話を聞くようにしてください。