EVが普及すると自動車市場はどう変わるのか。元東京大学特任教授の村沢義久さんは「『宏光MINI EV』が日本に上陸すれば、軽自動車市場は大きな影響を受ける。日本メーカーは格安EVの開発にもっと力をいれるべきだ」という――。

EV販売台数が急拡大している

自動車のEV化が急加速している。2022年9月、世界のプラグイン車(EV+PHV)の月間販売台数が初めて100万台を超えた(CleanTechnicaより)。

これは、今後世界がEV100%化に向かうための大きな壁を越えたことを意味する。

通年では、2022年のEV販売台数は約1000万台ほどになりそうだ。これは、世界の新車販売台数の約10%を占める、かなり大きな数字だ。

2021年には約660万台(新車販売に占めるシェア6.6%)だったので、急激に伸びていることがわかる。

しかも、2023年にはEV販売台数が1500万台(15%)にものぼると予想されている。

こうした世界の急激な変化に、日本は完全に乗り遅れている。2021年の日本における新車販売台数は、軽自動車を入れて444万8288台だった。そのうちプラグイン車(EV+PHV)はわずか4万7000台(1.1%)。主要国中ダントツの最下位である。

日産「サクラ」が起爆剤になるか

遅々として進まない日本のEV化の中で、一筋の希望の光が見えてきた。それが、日産と三菱が共同開発して2022年6月に発売した軽規格のEV「サクラ」だ(三菱ブランドでは「eKクロスEV」)。

日産「サクラ」
写真提供=日産
日産「サクラ」

「サクラ」は「補助金を使えば200万円を切る価格」と「軽を超えた力強い走り」を武器に売り上げを伸ばしている。

販売台数は、2022年6〜9月の累計で1万2942台となった(データ:全国軽自動車協会連合会)。8月には軽自動車の販売台数ランキングトップ10にランクインしている。

日本のEV化という観点ではうれしい結果である。