2023年早々には「コストプッシュ」のインフレ要因消滅
米国にコストプッシュのインフレをもたらした大きな要因は原油価格の上昇ですが、それがインフレ率に与える影響は2023年早々にもなくなると予想されます。インフレ率は前年同月比で計算されますが、このところの原油価格は1バレル90ドル前後です。1年前には70ドルから80ドル台でしたから、今のところは物価上昇要因となっています。
それが、2021年初には90ドル程度となり、その後100ドルを超える水準となりました。5月には115ドル程度まで上昇しています。現状の90ドル前後の水準が続けば、来年早々には物価上昇に与える影響はなくなると考えられます。その分、インフレ率は低下します。
先にも述べたように、米国では賃金の上昇が続き、「ディマンドプル」型のインフレは今後もしばらくは続くと予想されますが、企業業績がこの先落ちることがあれば、雇用や賃金が頭打ちとなり、インフレ率が低下することも考えられます。そうなれば、FRBは利上げを打ち止め、場合によっては、利下げに転じることも考えられます。そうするとドル・円相場も円高方向に振れやすくなります。
ただ、日本の経済的基礎力(ファンダメンタルズ)を考えれば、米金利低下により円がある程度まで買われることもあるかもしれませんが、長期的には円安という可能性も大きいと考えます。