2023年の人々の暮らし向きはよくなるのか。賃上げする企業も増えていますが、経営コンサルタントの小宮一慶さんは「国内で働く人の7割が勤めている中小企業は大企業と異なり、賃上げがあまり期待できません。日本経済の頼みの綱はインバウンドですが、中国人観光客はゼロコロナ政策解除後の感染蔓延で日本への入国に際しても、陰性証明や入国時検査が必要な状況です」という――。

2023年に入りました。今年の景気はどうなるのでしょうか。私は、春にかけての賃上げとインバウンド次第だと思っていますが大きな期待は禁物です。

米国や欧州ではインフレ率も高く、日本も11月で3.7%という状況です。私は、インフレ率はそろそろ落ち着くと見ていますが、このインフレ率に賃上げが勝てるかどうかということがひとつの大きな焦点です。

また、日本ではコロナがまだ蔓延していますが、繁華街や観光地には人出が多い状況です。外国人観光客を見かけることも多くなりましたが、最大数が期待される中国人観光客はまだまだの状況です。

今回は、このあたりを詳しく見ていきましょう。

回復する百貨店、旅行業界

まずは、インバウンドの状況から。コロナの感染状況とインバウンドに業績が大きく左右される、百貨店と旅行業界の業績推移をチェックしましょう。

図表1は、「全国百貨店売上高」と「旅行取扱状況」の前年同月比の数字です。2020年初頭からコロナの影響を受け始めたため、2020年1月から3月までを含む2019年度から前年比で減少幅が大きくなり、2020年度は百貨店で前年度比約3割、旅行取扱状況ではなんと8割の減少となりました。

両業界ともに大打撃を受けました。とくに旅行業では国内・海外旅行ともに大幅減少となり、各社は非常に厳しい状況となりました。海外旅行依存度の高いHISは、エネルギー事業も大幅赤字となったことが災いし、虎の子のハウステンボスを売却したのは記憶に新しいところです。

2021年の春先あたりから、ワクチン接種が進んだことなどから「ウィズコロナ」の経済活動により、百貨店、旅行業共に回復の兆しが見え、昨年2022年には、顕著な回復となりました。大手百貨店では赤字を脱し、旅行業もまだコロナ前には戻ってはいませんが、最悪期は脱した状況です。私は国内出張が多く宿泊する機会もありますが、ホテルに聞くと業績はかなり戻っているとのことで、外国人の姿も多く見かけるようになりました。

今後、このインバウンド客が順調に増えるかどうかが、日本経済を下支えする大きな要因です。インバウンド客のピークは2019年の3188万人で、月平均では265万人程度ですが、現状月ベースでは100万人程度まで回復しています。

ピークの3分の1程度にとどまっていますが、これはやはり中国人観光客が戻ってきていないからです。ご存じのように中国政府による「ゼロコロナ政策」は解除されましたが、その影響で一気に中国国内にコロナが蔓延し、諸外国では中国人の入国に警戒感を高めています。日本への入国に際しても、現状では陰性証明や入国時検査が必要な状況です。

これがいつ緩和されるかは、中国でのコロナの蔓延具合にもより、不確定な部分も多いですが、中国での感染がある程度収まれば、規制も緩和されインバウンド客の戻りが大きくなると考えられます。ただ、中国経済がゼロコロナなどにより減速していることも考慮に入れておく必要があります。春先以降に期待といったところでしょうか。