球審にストライクとコールさせる「捕手の技術」
際どいボールでも、球審にストライクとコールさせるようなキャッチングをする捕手を評価するための指標として「フレーミング」という概念が生まれた。
元来、キャッチングが巧妙で、球審にストライクをコールさせやすい捕手はいるが、どれだけストライクと言わしめているかの数量的判定まではできなかった。
しかし、計測によってフレーミングの巧拙が数値で表せるようになったのだ。
2019年のMLBにおけるフレーミングの巧者はオースティン・ヘッジス(現クリーブランド・ガーディアンズ)で、ゾーンまわりの球の53.8%をストライクとコールさせた。
平均的なキャッチャーがストライクとコールさせる確率は47%なので、平均よりも7ポイント近く優秀であるといえる。
このフレーミング技術によって防いだ失点は、20点と算出されている。
(https://baseballsavant.mlb.com/catcher_framing?year=2019&team=&min=q&sort=4,1よりデータ引用)
3ボールだとストライクゾーンが甘くなる
ちなみに球審がストライクとコールするコースには、興味深い調査がある。
2011年に出版された『Scorecasting』の第1章に、「PITCH f/x」により2007年以降の球審の判定を115万球検証したところ、ストライクとボールのミスジャッジは14.4%であったと記されている。
さらに、ストライクとコールされるゾーンについて、ボールカウント別に集計したところ、ゾーンの広さに大きな差が生じていたというのである。
カウントが「3ボール」のときと「2ストライク」のときの、球審がストライクとコールしたゾーンの違いを図表1に示す(長方形は規定のストライクゾーン)。
3ボールのとき、球審はかなり広めにストライクとコールしていることがわかる。