腸活は一日にして成らず

「バナナ腸活」をおすすめする理由の2つ目が、食べやすさです。前述したように、どんなに効果がある方法でも、途中でやめてしまえばその努力が水の泡となってしまいます。

小林弘之『腸を整えたければバナナを食べたほうがいいこれだけの理由』(アスコム)
小林弘之『腸を整えたければバナナを食べたほうがいいこれだけの理由』(アスコム)

その点、バナナなら洗わず、包丁もいらず、皮をむけばすぐに食べられます。持ち運びもしやすいので、仕事先や外出先でも食べられるのです。しかも、スーパーやコンビニなどさまざまなところで売っていて、全国どこでも1年中手に入る。

実は、このように手軽にいつでもどこでも食べられる食材は、そう多くはありません。さらにいえば、バナナは、よく食べる果物ランキングで継続して1位をとるほど、老若男女が味になじみのある、食べやすい食材です。

くり返しになりますが、腸内環境の改善には「腸活を継続すること」がとても重要です。使い勝手の面からも、入手のしやすさの面からも、味の面からも、継続しやすいバナナこそ、本気で腸を整えて元気にしたい人に、おすすめできる食材だと私は考えます。

1日2本、皮をむいて食べるだけでいい

では、いよいよ「バナナ腸活」のやり方を話していきましょう。まず、1日にどれだけ食べればいいのでしょう。さまざまな検証、研究を重ねて出た結論が、1日2本です。

順天堂大学漢方先端臨床医学研究室と小林メディカルクリニック東京の共同チームで、健常な成人男女20名を対象に実験を行いました。1日2本のバナナを食べる・食べないの2つのチームに分けて、腸内環境、ストレス症状、免疫の状態、自律神経の活動、気分のアップダウンなどメンタル面が2週間でどのように変化するのかを検証するという試みです。すると、約半数の方々に、次のような結果が得られたのです。

・腸の環境改善
・自律神経の活性化
・ストレス改善
・気分改善

という4つの効果が見られ、2022年、日本抗加齢医学会で発表しました。今回、2週間の「バナナ腸活」によって、両方(交感神経・副交感神経)の自律神経が活発化された状況に近づいたというわけです。

さらに、副交感神経が優位に働いている=リラックスした状態になっているというのは、ストレスがたまりやすく、交感神経が優位に働きやすい時代において、非常によい結果が出たといえるのではないでしょうか。また、今回の研究で、腸や自律神経が整うことによって、ストレス改善など気持ちの面での実感があったという結果が出たのは、非常にうれしい限りです。

「病いは気から」といいますが、メンタルの不調は体の不調の現れでもあり、メンタルが改善したということは、腸を含め、体が健康に向かっている証拠ともいえるのではないでしょうか。

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