「長いものに巻かれる」という日本人の国民性
個人的には、それもしょうがないなあと思う一方で、「日本の貧困」に拍車がかかるのではと心配している。ご存知のように、日本は先進国の中でもダントツに低賃金で、韓国にも抜かれてしまった。この原因は色々あるが、「社畜」という言葉があるように、「強い者に命じられたことは羊のように大人しく従う」という国民性も無関係ではない。
それがわかるのが、リクルートワークス研究所が日本、アメリカ、フランス、デンマーク、中国の労働者に賃金の決定要因を質問した「5カ国リレーション調査」(2020)だ。日本以外の国では「個人と会社の個別交渉」と「労働組合による団体交渉」による影響が最も大きいが、日本だけが1割程度にとどまっている。
つまり、日本人の多くは、会社から言われたままの給料をもらって、安くても文句言わず「おしん」のようにじっと耐えて、賃上げも要望していないのだ。会社にカネのことで「楯突く」のはカッコ悪いと感じている人がかなりいるのだ。
なぜこうなるかというと、日本人は「革命」を経験していないので、戦って自分たちの権利などを得たという成功体験がないからだ。明治維新は武士階級のクーデターだったので庶民は関係ない。このように「革命を知らない国民」は基本、長いものに巻かれる。
「日本人の家畜化」が進んでしまうのではないか
わかりやすいのが、太平洋戦争の敗戦だ。あれほど「鬼畜米英」なんて大騒ぎしていたのに、いざ米軍がやって来ても誰もベトナムや中東の人々のように反米ゲリラになって戦わず、「民主主義万歳」の大合唱となった。
その従順さは80年近く経過してさらに磨きがかかり、今や米軍基地に反対すると、「反日左翼」と非国民扱いだ。権力者にとって、こんなに扱いやすい「羊」のような国民は世界を探してもそういない。
こういう「日本人の家畜化」が今回の炎上で進行していくのではないか。大きなものに逆らう、反対する人たちはカッコ悪いということを、ひろゆき氏の鮮やかな論破によって、若者たちの頭により一層刷り込まれたからだ。
ま、筆者がそんなことをいくら心配したところで、ひろゆき氏にはこんな風に論破されて終わりだろう。
「それって、あくまであなたの感想ですよね」