総額で約240万円もの差がつく

この平均余命(平均寿命)をもとにAさんが受け取る年金額を計算してみると、図表2のようになります。ここでは、厚生労働省の「令和4年度の年金額改定」にもとづいて、標準世帯の毎月の年金額を約22万円、そのうち、夫が受け取る年金額を老齢基礎年金が約6万5000円、老齢厚生年金が約9万円で合わせて約15万5000円として計算します。

70歳に繰り下げて受け取ると、85歳までに受け取る年金の総額をもっとも多くできることがわかります。

65歳から受け取り開始した場合と比べ、総額で約240万円、多く受け取ることができます。

これらのことから、Aさんには、「まずは70歳への繰り下げを検討してください」とお話ししました。

もちろん、65歳、70歳、75歳と5歳単位でなく、69歳とか71歳から受け取ることもできます(1カ月単位で可能)。

しかし、70歳より前に受け取りを開始すれば、当然のことながら、年金月額は少なくなってしまいます。