国内ユニクロ事業の売上高は2010年8月期の6151億円から11年8月期の6001億円へ150億円減少した。一方、海外ユニクロ事業の売上高は、10年8月期の727億円から11年8月期の937億円と210億円も増加している。

これを全社売上高に占めるシェアで見ると、国内ユニクロ事業が75.5%から73.2%へ2.3%ダウンし、海外ユニクロ事業は8.9%から11.4%へ2.5%アップしている。また、全社利益に占めるシェアで見た場合には、国内ユニクロ事業が89.9%から85.6%へ4.3%減少し、海外ユニクロ事業は4.4%から7.2%へ2.8%増加している。

伸び悩む国内ユニクロ事業と成長軌道にのせた海外ユニクロ事業という図式を読み取れるわけだが、特に問題なのは前者。同社は09年8月期から2期連続で1000億円前後の大幅増収を達成したものの、11年8月期は55億円の増収にとどまる。当面の同社の課題として売上高1兆円の達成があると思われるが、その実現には全社売上高の7割強を占める国内ユニクロ事業の立て直しが不可欠だ。

H&MやZARAなどライバル企業との競争が厳しく、手をこまねいていると既存店の売り上げは目減りするばかり。そこで、地域的なブランド力のある銀座に旗艦店をオープンさせ、人気ブランドとのコラボレーションラインなどを大々的に展開することで、まず国内市場におけるユニクロのブランド力向上を狙ったものと考えられる。

もちろん、海外市場もにらんでいて、銀座店では日本語のみならず、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語と6カ国語への対応が可能だ。日本を訪れる海外旅行客にユニクロをアピールすることができる。さらに海外展開のための人材育成の場にもなって一挙両得なのだ。

国内外いずれの事業にも効果を期待した出店、それが銀座店といえる。それだけに同店の先行きを注視する必要がある。

(高橋晴美=構成 ライヴ・アート=図版作成)