コーヒーやお茶、赤ワインも脂質ラジカルを抑制

高脂肪食ばかり食べていると大腸がんになりやすいというのは、大腸のS字結腸に溜まった脂肪酸が鉄分と反応して脂質ラジカルに変わり、大腸の内壁を傷つけてしまうからだが、さらに、過剰な脂質は腸内細菌叢(いわゆる腸内フローラ)をも変えてしまう。

野菜に残留する農薬も腸内細菌叢を変えるといわれるが、腸内細菌叢の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れたら、免疫の不活性化だけでなく、肥満、アレルギー、二型糖尿病、自閉症、うつ、動脈硬化といったさまざまな疾患の引き金になりかねないのである。

実は、この脂質ラジカルも野菜スープで抑えられることがわかっている。図表1を見ていただきたい。棒グラフの高い野菜ほど、脂質ラジカルを抑える力があるということだが、豆類が非常に高く、根菜類は可食部よりも日光がよくあたる葉に多いことがわかる。

ステーキや焼き肉など、高脂肪食を食べるときは、こうした野菜のスープを一緒に飲むようにしたい。また、コーヒー、赤ワイン、煎茶、紅茶なども脂質ラジカルを抑えてくれるから、高脂肪食のときにこれらを飲むのは理にかなっているのだ。

野菜の繊維質が腸の内壁を守る

野菜スープは活性酸素や脂質ラジカルの活性を抑えるだけではない。スープと一緒に食べた野菜の繊維質(セルロース=多糖類)は、胃では消化されず、大腸に届けられるが、人間が消化できない繊維質はここで善玉菌のご飯になって、善玉菌が悪玉菌を抑えてくれる。

それだけではない。善玉菌は代謝産物として短鎖脂肪酸をつくってくれる。これが大腸内壁を守ったり、二型糖尿病を抑制してくれたりと、人間の健康にとってなくてはならない物質なのだ。野菜スープは、まさに一石二鳥の食べ物なのである。よく考えれば、煮野菜を中心に、油を抑えた伝統的な日本食は、長い時間をかけて確立されただけに、非常に優れたメニューであることがわかる。ここでは「野菜ポタージュ」を紹介するが、作り方は基本的に野菜スープとそれほど変わらない。

ブロッコリー、ほうれん草のクリームスープ
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好きな野菜を適当に(合計約400グラム)選んでざっくりと刻む。たまねぎ、にんじん、キャベツ、かぼちゃなどをベースにすると案外簡単に作れるようだ。鍋料理や煮込み料理を作ったあとに残った野菜のクズがある。にんじんのヘタや大根の先っぽ、しいたけの軸など、普段捨てているようなものも一緒に煮ている人もいるが、抗酸化物質が摂れるうえに無駄をなくせるのだから環境にもいい。

これらはポタージュにするのだから、野菜をこまかく刻む必要はない。

キャベツなどは緑色になった外側の葉も使いたいが、硬そうなら、油で炒めてから煮てもいい。水1リットルで30分から1時間、軟らかくなるまで煮たら、そのまま冷ましてミキサーやブレンダーでポタージュにするだけだ。そのまま温めて飲んでもいいしスパイスを加えても、牛乳を加えてクリーミーに変えるのもいい。スープカレーもいいだろう。風邪気味のときは、しょうがを入れる方もいるが、要は食べておいしければそれでいいのである。

余れば保存容器に入れて冷蔵しておけばいい。私の知人は、カップ1杯分の量を小さな保存容器に小分けにして冷凍していた。食べるときに取り出して解凍するそうである。暑い夏はスムージーにして食べるのも悪くないだろう。