バブル経験者がしがちな勘違い

下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(藤田孝典著/朝日新書)という本を読みました。「下流老人」とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」のことです。

この言葉を造語した藤田孝典氏によると、2015年で下流老人の数は日本国内で600万~700万人いるとされています。

「豊か」と言われ続けた日本でなぜこれほどの「下流老人」が増えたのか。その理由の一つとして藤田氏は高度経済成長期とバブル経済を挙げています。経済は上向き、月給は増える、土地の値段は上がる。バブル期に至っては日本中は毎日がお祭り騒ぎでした。ちょっとそこまで行くのにもタクシーで、クリスマスのホテルは若い人で予約が取れないという時代でした。

その時代を過ごした人は「中流」と思っている人が多く、多少の無駄遣いをしても生活には困らないと勘違い。そのせいで日々の暮らしは「贅沢」になり、でもそれが「普通」だと思ってしまったんですね。

「下流老人」と認めて対処する

私もその一人だと思います。

紫苑『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』(大和書房)
紫苑『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』(大和書房)

「だと思う」のはこの期に及んでもなかなか「自分は中流」だとの思い込みから抜けきれないわけです。月5万円生活、生活保護規準より低い額での生活なのに「中流意識」。笑ってしまいますよね。

「それは幻想」だと藤田氏はばっさり。

私はプチプラ生活を始める前は完全に「勘違い派」。始めたばかりの頃も「いや、これは一時的なことだから」と自分に言い聞かせていました。「一時的」もなにも、今後年金が増えることはないにもかかわらず、です。

それならもう自分は下流老人だと認め、早めに対処したほうがいいと思いなおしてからは、気持ちも生活もずっと楽になったのです。

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