「認知症患者の同意を得る」ことが大切

認知症もやはりインフォームドコンセント(医師が治療について説明し、患者の同意を得ること)が大切だ。

患者本人や家族が治療について十分理解し、それをどう受け止めたか、受け止めた上でどのような医療を選ぶかということをきちんと考えた上で、治療を進めていくことが重要なのだ。

ちなみに、どうしても本人が検査を受けたがらない、治療が進まなくて困っているという場合は、別の医療機関を受診する、いわゆるセカンドオピニオンという選択肢もある。

セカンドオピニオンというと、

森田豊『医者の僕が認知症の母と過ごす23年間のこと』(自由国民社)
森田豊『医者の僕が認知症の母と過ごす23年間のこと』(自由国民社)

「主治医の気を悪くしそうで言いにくい」
「患者が言い出すのは生意気なのではないか」

などと心配される方もいるかもしれないが、それはまったくの誤解だ。

良識のある医師なら、患者の申し出を否定したりしない。

治療がスムーズに進むことを第一に考え、むしろセカンドオピニオンを前向きに考える。

セカンドオピニオンを正しく求めることは、患者にとっても主治医にとってもいいことづくしなのだ。

母の場合も、何度か検査を嫌がった時点で、セカンドオピニオンを求めるべきだったと思う。

そうすれば気持ちが切り替えられ、検査を受けてみようという気になったかもしれない。

だが、当時の僕はそこまで考えが及ばなかった。

セカンドオピニオンとは、症状が良くならなかったり、治療が滞ったりした場合に求めるものであって、検査の段階で別の医療機関を受診するというアイデアは、当時の僕には浮かばなかったのだ。

医師として、深く反省する他ない。

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