年間5000トンの森地残材バイオマスを活用する構想とは

釜石市復興まちづくり基本計画「スクラムかまいし復興プラン」のもう一つの特徴は、エネルギー関連施策についてきわめて積極的なアイデアを打ち出し、スマートコミュニティの実現をめざしていることにある。同プラン中の「基本目標5 ものづくり精神が息づくまちづくり」は、重点施策として「スマートコミュニティなどエネルギーの多様化に向けた取組み」を掲げ、「地域独自のエネルギー需給体制の構築による産業経済の活性化を推進するため、風力発電、太陽光発電、木質バイオマス資源等の再生可能エネルギーやLNG(液化天然ガス)の利活用など、エネルギーの多様化による釜石版スマートコミュニティの実現に向けて取り組みます」と記している。また、「スクラム4 創造的エネルギー対策の推進」は、「震災の教訓を踏まえたエネルギーの安定供給や災害時の一定確保に向け、太陽光発電、風力発電、林地残材及び産業廃棄物による木質バイオマス資源の利活用など、エネルギーの多様化によるまちづくりを目指した釜石版スマートコミュニティを推進し、地域独自にエネルギーを生産・活用できる拠点の形成に努めます」と述べている。

スマートコミュニティの実現をめざす一連のエネルギー関連施策もまた、きわめて「釜石らしい」ものである。と言うのは、東日本大震災の他の被災市町村にはない固有の条件を活かそうとしているからである。

釜石市は、東日本大震災前の10年11月から、「バイオマスタウン構想」を推進している。これは、市内でIPP(独立系発電事業)を営む出力14万4900キロワットの新日本製鉄釜石石炭火力発電所において、木質系バイオマスを混焼させるものである。混焼率は2%(重量比)で、釜石地方森林組合の協力を得て、年間5000トンの林地残材バイオマスの活用を見込んでいる。

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図1 釜石市内の再生可能エネルギー関連施設

このほか、釜石市および隣接する大槌町および遠野市には、合計43基の風力発電機を擁し、設備容量が4万2900キロワットに達する釜石広域ウインドファームが展開する。また、釜石市では、釜石ガスが、都市ガスおよびLP(液化石油)ガスの供給を行っている。さらに、東北電力も、釜石市市内に複数の小水力発電所を有している。このように釜石市は、地方都市としては例外的に、エネルギー関連施策について数々のカードをもっている町なのである(図1参照)。

東日本大震災にともない発生した東京電力・福島第一原子力発電所事故後の日本では、再生可能エネルギー利用の大胆な拡充を図る必要があり、そのためには、ガスタービン火力などのバックアップ電源と連系させて、分散型電源網を構築し、スマートコミュニティを形成するという方法が有効である。スマートコミュニティ形成の社会的実験としては、北九州市東田地区の取り組みが有名であるが、釜石市には東日本大震災後、北九州市のスタッフが復興支援のために常駐している。釜石市は、スマートコミュニティ形成の被災地におけるモデル都市、場合によっては、全国的なモデル都市となる可能性を有している。

(大橋昭一=図版作成 釜石市、建設技術研究所=資料提供)