スマートコミュニティ産業の日本国内における市場規模は2020年に10年比3.7倍の約3兆3000億円に上ると見られる。日本は日本発の世界標準をめざすが、釜石市はスマートコミュニティ形成のモデル都市となる可能性を有すと、筆者は説く。
東日本大震災での生存率97%という「釜石の奇跡」
第二次世界大戦後の日本で、史上最大の自然災害となった昨年3月11日の東日本大震災。震災直後の大津波に襲われた岩手県釜石市では、のちに「釜石の奇跡」として語り継がれることになる感動的な出来事が起きた。津波が来そうなときは、家族といえどもてんでんばらばらに逃げるべきだという「津波てんでんこ」の言い伝えや、群馬大学片田敏孝教授の教えを守り、市内の鵜住居(うのすまい)中学校の生徒たちが、近隣の小学生や近所の高齢住民らを連れて、高台から最後は開通したばかりの高速道路にまで避難し、大津波で鵜住居の町が壊滅的な打撃を受けたにもかかわらず、多くの人命を救ったのだ。
しかし、一方で、釜石市内だけで、東日本大震災によって、1000人を超す市民が亡くなられるか行方不明になるかしたことも、冷厳な事実である。震災から早くも1年の月日が経過したが、震災で犠牲になられた方々のご冥福を心からお祈りする。
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