PC、スマートフォンやソーシャルメディア、センサーなどを通じ、日々、大量のデータがやりとりされている。ビッグデータ時代には、このような非構造化データを活用し、処理するための仕組みが求められる。

しかも、これだけデータが膨大になるにもかかわらず、IT投資予算は削減の方向にあり、IT管理者の人数を増やすことができないのが実態だ。

こうした状況の救世主となっているのが、Hadoopと呼ばれるソフトウエアだ。これは、大規模データを分散して処理するオープン技術。一台のコンピュータで大量のデータを処理する場合、高度な性能と膨大な時間が求められる。しかし、Hadoopの登場で複数のコンピュータに処理を分散させ、大幅に時間を削減することができるようになった。

日本IBMでは、これをベースにしたIBM InfoSphere BigInsights Enterpriseなどを製品化。エクセルなどの表計算ソフトのように、分析結果を表示することができる。

ソフトウエアだけでなく、大量のデータを処理するためのサーバー、蓄積するためのストレージといったハードも必要だ。また、サーバーやストレージなどの機器を設置、保管するためのデータセンターも急速に増えている。

近年はこうした機器を自社で用意せず、ネットワーク上にデータを保存するクラウドへの需要も高まっている。各分野の主要プレーヤーは左ページの図をご覧いただきたい。

ビッグデータ時代の主役となるのは、このようなサービスを一括して提供するSI(システムインテグレータ)企業だ。日本における大手SIは、日本IBM、富士通、NEC、日立製作所、NTTデータなど。SI各社は、消費者動向の分析を必要とするBtoC企業などを相手に、熾烈な争いを繰り広げている。

先行するのが日本IBMだ。同社は、ビッグデータ時代を3つのVで定義する。データの「量(Volume)」、非構造化データが拡大することによる「多様性(Variety)」、ソーシャルメディアやセンサーなどのデータをリアルタイムで収集する「頻度(Velocity)」。これら3つのVを分析し、活用する方法を提案する。

これに対し、NECは「リアルタイム」「ダイナミック」「大量データからの予知・予測」「予防・行動支援」「どこでも利用可能」の5つの要素をキーワードとして挙げる。同社は2月、ビッグデータ関連事業の拡大を目指し、今後3年間で200人の専門体制にする計画を発表したばかりだ。