あなたのまわりに存在する女子ボスにご用心

こうした女子ボスの存在は決してひとごとではない。週刊誌やワイドショーの中にだけ存在しているわけではない。女子ボスは、ママ友だけではなく、会社内や学校の友人、遊び仲間などにも一定の割合で存在する。

例えば、会社内の事例でいえば、いつも攻撃的でマウントをとる女子、新人が入ってくるたびにいじめ続ける女子、同僚なのに上司面する女子など、といった例である。

ここで1つ、典型的な女子ボスとみられる「お局様」の実例を紹介する。

さとみさんは、せっかく就職した宿泊施設を退職しようか悩み、筆者の相談室を訪れた。20代半ばのさとみさんは、職場の配置転換に納得がいかず、思い悩んでいた。入社当初は「経験を活かして頑張ってほしい」と言われ、フロント業務を頑張っていたが、突然フロント業務から温泉の清掃部署に配置が転換された。

風呂場の掃除をする中居さん
写真=iStock.com/yamasan
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英語が得意で、前職でもフロント業務の経験を積んできたさとみさんは、なぜ自分が清掃部署に変更になったのか、納得ができずにいた。自分の経験を活かせず、やりがいを失っていたさとみさんは、思い切って人事部長に相談した。

返事は、「しばらくは全く経験のない分野の仕事も頑張ってみて」という内容だった。落ち込んでいた帰り道、さとみさんは人事部長とある女性が手をつないで一緒に歩いている姿を目撃した。その女性は、同じ宿泊施設のフロントで働く30代の女性だった。その女性は、社内でもお局的存在で有名であり、職場の男性上司と不倫の噂が絶えないことでも有名で、新人のさとみさんの耳にも噂が聞こえてきていた。

「まさか人事部長と……」

さとみさんは、まるで走馬灯のようにいろいろなことを思い出した。英語で接客をするたびに聞こえてくる舌打ちの音、フロントに出ると消されてしまうエアコン、希望を出したシフトは勝手にいじられる始末。すべて、お局的女性からの陰湿な嫌がらせだった。

さとみさんは半信半疑ながらも、しかし嫌がらせを受けているという確信は持って、直属の主任に相談した。

主任からの返事は実情を明かしてくれた。

「お局の彼女、人事部長の不倫相手で、でもお互い結婚しているからダブル不倫で……。自分が気に食わない女性がいると、部長に頼んで異動させるんだよね。さとみさん、英語ができるから嫉妬されたんだと思う。前にも、それで異動させられた女性がたくさんいるから……」

もみ消されてきたさまざまな事案があることは、想像するに難くなかった。人事部長の不倫相手となって、自分の思うように職場の人事を操作する。こうした“不気味な地位”を利用して、パワーハラスメントは行われていた。