ただ、WELQはコンテンツの内容に問題がありました。明らかにほかのライバルサイトから持ってきた情報をつなぎ合わせたものであったり、科学的に不適切と思われるような記事が存在していたり(「肩こりの原因が背後霊」などというコンテンツもありました……)、違和感を感じる状況だったのです。

お金や生活分野の検索には特別なフィルターがかかっている

身も蓋もない話ですが、もしユーザーの動きをメインにGoogleが検索順位を決めているのであれば、ライバルからパクってつなぎ合わせたコンテンツであれ、さらに読みやすいものになっていれば、ユーザーにとっては「役に立つコンテンツ」になってしまいます。また、検索ユーザーの大半が医療情報に関する素人であれば、内容の真偽など判断できません。結局、WELQは多くの批判を浴びることになり、運営元が自主的にWebサイトを閉鎖する形で決着しました。

このようなさまざまな問題が大きく影響して、Googleは「YMYL(Your Money or Your Life)」というジャンルについては特別なアルゴリズムを導入するようになりました。これは文字どおり、お金や生活(医療、健康、人生)に大きく影響を与える分野については特別なフィルターを通すというものです。具体的には、先ほどの医療分野であれば、公的な機関や、信頼に足る組織のWebサイトでないと上位表示が難しいといったものです。

一方で、未だに多くのジャンルにおいては、一時ほどではないものの、ユーザーによる行動を重視している傾向が堅持されています。つまり、検索ユーザーの多くが手短にわかりやすいWebコンテンツを求めれば、そのような結果が返ってくるということです。これは、視聴率の影響を受けながら番組を作るテレビの構造と一部似ていることがあり、私は「検索エンジンのワイドショー化」と呼んでいます。