「検索エンジンの情報は信頼できない」は的外れ
「どんなことでもまず検索してみる(ググる)」という昨今の状況について、私は好ましいものだと思っています。
「検索エンジンに頼っていると思考力が身につかない」
「検索エンジンで調べた情報は玉石混交で不確かなので信頼できない」
そういった言葉が検索エンジンに頼ることへの批判としてよく聞かれますが、個人的には的外れだと思っています。
たとえば、有志によってまとめられ、だれでも自由に読めるWikipediaという百科事典サイトが存在します。このサイトは検索エンジンにも強く、さまざまな情報を調べるとよく上位に表示されてきます。有志が作ったコンテンツということで正確性に劣ると思われるかもしれませんが、Nature誌のおこなった調査では、専門家が編纂した代表的な百科事典であるBritannicaと情報源としての正確性が同レベルにあるとされています(注)。
注:「Wikipediaの情報はブリタニカと同じくらい正確」――Nature誌が調査結果を公表
少なくとも、従来型の百科事典に比するほどの情報量と正確性のあるコンテンツは、すでにWeb上に存在しています。
知らないことを放置しているほうがよほど問題
検索エンジンも、使い方次第では深い思考にも結びつきますし、正確性についてもその正誤を判断するリテラシーが重要であって、検索エンジンを利用することが即座にまちがった情報に惑わされることにつながるわけではありません。むしろ、正確性が劣るからといって、検索エンジンを使わずに、知らないことを知らないままで放置しているほうがよほど問題でしょう。
「検索エンジンを使っても稼ぎにつながらない、有益にならない」ならば、理由は検索のリテラシーが低く、浅くて表面をなぞったような情報にしか行き着かないから。それが問題なのです。後にくわしくふれますが、Googleの検索エンジンはレベルの低い検索をおこなえばレベルの低い情報しか出てこない傾向があります。また、検索結果にはコンテンツの発信者によるさまざま意図やバイアスがあります。そういった特性を理解して、自分の目的にあった検索スキルを身につける必要があるのです。