ワーカホリックだけれども睡眠時間は削らない
児玉自身はどうなのか。実は四六時中働いている。「オフはないと思っています」と断言するほどのワーカホリックだ。
例えば、どこかの店に入れば店員数や顧客数をチェックするし、自宅に戻っても常に調べ物をしている。職場にいなくても、頭の中は常に仕事のことでいっぱいなのである。
だからといってブラックな環境にいるとは全然思っていない。上司の目を気にして無意味に残業しているサラリーマンとは違うのだ。仕事のことを考えるのが楽しいし、それがむしろ活力の源泉になっている。
事実、睡眠を削って長時間労働しているわけではない。夜9時すぎには必ず就寝する。「よく考えてみれば、昔は夜9時すぎになると飲んでいたり、映画を見ていたりしていた。何も生産的なことはやっていなかったですね」
早めに寝る代わりに朝は早い。通常は4時半に起床し、場合によっては3時半に目覚める。「朝方は誰にも邪魔されないから、インプットするには最高の時間」。朝方のインプット時間は8時までで、主に読書に充てられている。
SDGsへの関心の高まりがIPOへの追い風に
ラクサスは2019年10月、アパレル大手ワールドの出資を受け入れ、資本構成上は子会社になっている。出資額は43億円で、出資比率は6割強。出資以外にワールドからラクサスへ総額100億円の融資も行われた。
ただ、児玉は売り抜けたわけではなく、引き続き発行済み株式数の4割弱を握る個人筆頭株主だ。「ワールドには600万人のアクティブ会員がいる。それをラクサスに呼び込みたい」
将来的にはIPO(新規株式公開)を思い描いている。「SDGs(持続可能な開発目標)」や「ESG(環境・社会・ガバナンス)」に対する関心の高まりを背景に追い風が吹いているかもしれない。ラクサスのビジネスモデルは高級バッグのシェアリング(共有)であり、廃棄物を極力減らして環境負担を軽減する点に特徴がある。
自然豊かな瀬戸内に本拠を置くSGDs型のグローバル企業――。大きな夢実現に向けて児玉は走り出したばかりだ。
(文中敬称略)