今、日本中を騒がせている「旧統一教会と政治」の問題。そこで注目されているのが、国際勝共連合、世界平和連合、UPF(UNIVERSAL PEACE FEDERATION=天宙平和連合)という3団体だ。いずれも「創設者」が旧統一教会の教祖・文鮮明氏ということから、「旧統一教会系団体」「教団のフロント組織」などとメディアでは報じられており、教団と政治の「ズブズブの関係」を構築する舞台装置になったとされている。
実際、UPFに関しては主催するイベントに、安倍晋三元首相(享年67)がビデオメッセージで基調講演を行い、それを目にした山上徹也容疑者が政治と旧統一教会の関係性を確信して、「凶行」を決意したという供述も報道されており、安倍家や派閥の清和研との深い関係も指摘されている。
しかし、これらの団体は、教団と一体だという指摘を「事実ではない」と否定している。果たして、その真意はどこにあるのか。
国際勝共連合、世界平和連合、UPFジャパンという3団体の会長を務める、梶栗正義かじくりまさよし氏が一連の騒動後、初めてメディアのロングインタビューに応じた――。(前編)
国際勝共連合、世界平和連合、UPFの3団体の会長を務める梶栗正義氏
写真=筆者提供
1970年東京生まれ。韓国・鮮文大学神学部卒。宗教間対話と調和、家庭強化運動、国連改革などの活動に従事。平和大使協議会会長も務める。

「安倍元首相のビデオメッセージは教団とは関係ない」

——まずに安倍元首相銃撃事件について、どのように感じましたか?

【梶栗】国民のひとりとして大変な衝撃を受けました。心からのお悔やみを申し上げます。決してあってはならない事件であって、現在も警察による捜査が続行中ですので、その経過を見守りたいと考えています。

報道で、山上容疑者に関しては家庭環境がかなり複雑だったと聞いています。そこは同情をする一方で、だからといって、あのような卑劣な犯行を正当化することは絶対にできません。そのような点も含めて、この事件に関して、非常に心を痛めています。

——その事件の動機として、自民党と教団との親密な関係や、UPFのイベントに送ったビデオメッセージについて報じられています。これについてはどのように受け止めていますか?

【梶栗】まだ捜査中の事件ですので、本当の動機がどうなのかということは注意深く見守らないといけませんが、もし現時点の報道で語られていることが事実ならば大変遺憾に思います。

ただ、私たち「UPF」についてメディアで語られていることに関しては、実態とかなり大きな開きがあって困惑しています。山上容疑者が教団へ恨みを抱いたのは、過去の高額献金や、家族の問題という事実があってのことでしょうが、安倍元首相がUPFにビデオメッセージを送ってくれたことは、教団の布教活動とは関係のない話であって、犯行の動機とはなりえないものだと考えています。