いつまで投手を続けられるのか
投球は、大谷が本来やろうとしている理想に徐々に近づいているようだ。ストレート、スライダー、フォークボール。大谷は「パワーピッチャー」だ。「打者を圧倒できる」ことが、僕がいうパワーピッチャー系の定義となる。
菅野智之やマー君は打者を圧倒はできないが、打者にとって嫌な投手だ。だから「パワーのある技巧派」。しかし、ダルビッシュや大谷は打者を圧倒できる。僕が対戦した打席では、ものすごい「圧倒力」を体感した。
バッティングは、2020年までは左中間に流し打った打球が伸びたときにスタンドインする印象があったが、翌2021年はレフトに力強い打球を飛ばし、高さ11.3メートルの「グリーン・モンスター」越えを放った。一方で、ライトに思い切り引っ張って本塁打にすることも増えた。
もともとスイングスピードが速かったところ、体が一回り大きくなってスイング力もついた。だから相手投手の球にまったく力負けしない。
打ち方、タイミングの取り方、バットの軌道も変えて、相手投手に対応できるような形は、いま完成に近づいている。
大谷の投打二刀流に関しては賛否両論あるが、現在はいいと思う。二刀流ができる間は続けてもいい。いま大谷がやっていることは、僕たちの次元を超えている。なにしろベーブ・ルース以来、100年に1人なのだから。誰にも判断できないのだ。
ただ、投手を続けるのが絶対無理なときは来る。とくに大谷はパワー系だから、力が落ちるときは来る。投手ができなくなったとき、しっかりと打者に専念する判断をしてほしい。最終的には打者一本で最後までやることになるだろう。ベーブ・ルースも最後は打つだけだった。ただ、どうせならベーブ・ルースの記録を全部抜いてほしい。
100年に1人の逸材を見られる幸せ
もしも、投手・大谷を僕がリードするとしたら……。
「このあたりにどうぞ、ストレートを思い切って投げてください」「はい、スライダーをこのあたりから曲げてね」。そんな、おおまかな感じで大丈夫だろう(笑)。
では、打者・大谷を僕が討ち取るとしたらどうだろう。内角気味の球でファウルを打たせながらカウントを稼ぎ、内角高めの邪魔な球で打者を嫌な感じにさせて、外角に落とす。これが基本になるだろう。
それにしても、メジャー100年に1人の選手が、同じ日本人だというのは誇りだ。次にこんな選手が出るとしたら100年後。僕は大谷を同じ世代で見られてよかった。もはやファンのような感覚だが、別次元のプレーを見られる幸運をみんなで楽しみたい。
“It’s SHO-TIME!”