どこにいてもイスラム教徒がお祈りできる時計
例えばイスラム教徒の人たちは、毎日決まった時間にお祈りをします。現地法人があれば、お祈り用のスペースの確保を意識する必要も出てきますし、その時間に合わせた休憩時間の確保も考慮しないといけません。
宗教は生活に密接に結びついているため、当然、消費にも影響をおよぼします。先ほど挙げたハラール食対応もそうですし、宗教的な習慣によって日本人が思いもよらない市場が形成される傾向にあります。
G-SHOCKで有名なカシオでは、イスラム教のお祈り習慣に合わせて、どこにいてもお祈りするタイミングと方角がわかる時計を開発、販売しています。これは、宗教的習慣によって生まれるニーズを上手く捉えた事例と言えるでしょう。
インドネシアでは「洗いやすい生理用ナプキン」が売れる
宗教的習慣が消費行動に影響する例として、インドネシアでは使い捨て生理用ナプキンは捨てる前に「洗う」習慣があります。それは再利用のためではなく、宗教的な理由から、体液をそのまま土に還すことは良くないことだと信じられているからです。
そうなると、商品にも「洗いやすさ」が求められます。日本人の感覚では「まさか」と思うものが、実際の商品選択の基準になることがあるのです。
そのほか、国や商品によっては、教会などの宗教組織が重要な顧客や卸先になることも十分にあり得ます。つまり、宗教という切り口が販路拡大に直結する要素にもなりうるのです。
宗教は私たち日本人にとっては不慣れな部分が多く、どう対峙したらいいのか戸惑うと思います。ただ、国によっては商品開発から広告の表現まで、宗教は避けて通れません。