自分の身に置き換えて考えさせる
では、いったいどうすれば、「いじめはいけないことなのだ」という意識を、子どもの心にしっかりと落とし込むことができるのでしょうか?
私は、子どもたちと直接話をするときには、怒るのではなく「自分たちに置き換えてみて」と問いかけます。「自分がされたらどう思う?」と。すると、ほとんどの子が「嫌だ」という。そうしたら、その意見に共感し「嫌だよね、傷つくよね。だったら、自分もそういうことをしないようにしないとね」と話します。
加害生徒が心から相手の立場に立って自分の行為を振り返らない限り、いじめは終わりません。逆にいえば、加害生徒がいじめられた子の気持ちになって考えることができるようになれば、報復が起きるわけはないのです。
表面的な指導がむしろいじめを助長させてしまうことを、大人たちは胸に刻んでおくべきでしょう。
(構成=山田清機)