国論を二分する中絶の議論

一方、メディアでも民主党対共和党のバトルが繰り広げられている。

フォックス・ニュースの番組に出演したサウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事は、中絶を擁護するバイデン政権を批判した。中絶反対派であるノーム知事は、「私は、家族などの支援がない孤立した妊婦や経済的に困窮した妊婦がいることも十分認識している」と言い、教会やNPOと連携して妊婦をサポートしたり、養子縁組などの支援もすると述べる。

確かにアメリカでは、養子を受け入れる家庭が多い。生んでも育てることができない場合、そういった選択肢も日本より、はるかに多い。

しかし、今回の最高裁の判決で、アメリカ国内、とりわけ医療の現場が相当混乱していることが、ここ1カ月で明らかとなっている。人工中絶の是非を問い、女性が生み育てる責任を追及することにより、逆に危険にさらされる命もある。母体保護という観点も見逃してはならない。

アメリカは、11月に中間選挙を控えている。中絶の問題は、民主党と共和党という政治対立だけでなく、アメリカという国の分断をさらに深刻化させかねない。

【関連記事】
「精神科医が見ればすぐにわかる」"毒親"ぶりが表れる診察室での"ある様子"
「長男の嫁だから介護して当たり前でしょ」そんな義理の親の言葉を封じる法律がある
中学3年生なのに「トイレに行きたい」と言えずに失禁…「自己主張のできない子」を変えた塾講師のひとこと
「専業主婦も生き方の一つ」そんな日本の保守的なジェンダー観にヨーロッパの人々が思うこと
「うつ病かも…」と思った女性が精神科に行く前に疑うべき2つの病気