上司に評価されようとすると「間違う」

学校の先生と生徒の関係にも似ていますが、部下はどうしても上司の評価を気にしてしまいます。

弘兼憲史『捨てる練習』(プレジデント社)
弘兼憲史『捨てる練習』(プレジデント社)

上司に評価されるには、どうしたらいいかと考えます。その結果、間違った結論にたどり着いてしまうことが多い。「好かれよう」という結論です。

そう考えた部下は、イエスマンとして上司に忠誠を尽くすようになり、社内ではもちろん、プライベートでの頼まれごとも聞いてしまうかもしれません。

上司によって異なるにせよ、部下に対する好き嫌いの感情は多少なりともあることでしょう。一人は、何を頼んでも嫌な顔一つせず、断らない部下。もう一人は、「それはできません」と正論をかざし、きっぱりと断る部下。

上司も人間ですから、前者への評価は甘くなり、後者への評価は厳しくなる可能性はきわめて高いといえるでしょう。

嫌な上司の機嫌は取らない、と決める

だからこそ、「上司に好かれよう」とする部下が出てくるわけですが、反対に「上司にへつらうなんてまっぴらだ」「機嫌を取るためにゴマなんかすれるか」と考える部下もいる。

どちらの考えも、ぼくは否定しません。

問題は、「へつらうなんてまっぴらだ」と言いながら、評価されないことに不満を持っている人。「正当に評価してほしい」と思っている人です。

嫌いな上司になんて、評価されなくてもいい。
好き嫌いで判断するような上司の評価なんかいらない。

そう考えたほうがスッキリすると思いませんか。

与えられた仕事をきっちりこなし、着実に実績を重ねていけば、あなたの仕事を評価してくれる人物がきっと現れます。

嫌な上司の好き嫌いやエコ贔屓ひいきに左右されない、誰もが認める実力をつければいいのです。嫌な上司の機嫌は取らないと決意したのであれば、そのくらいの覚悟を持って仕事をしてください。