島耕作、理想の上司との邂逅

『課長 島耕作』で描いた上司と部下との関係性は、ぼくが約3年間お世話になった松下電器(現パナソニック)での実体験をベースにしています。

派閥争いに巻き込まれて京都へ飛ばされた島は、その後もなかなか良い上司に巡り会えずもがいていました。

そんな中、本社への復帰を果たした島。そこで、ようやく理想の上司の下で働くことになります。島が初めて「この人のあとならついてゆける……」と感じた、販売助成部の中沢喜一部長です。

取引先から裸踊りを強要されたら、どうする

ある年の正月、販売助成部が制作したカレンダーに欠陥が見つかり、前年末までに取引先に届けられなかったというハプニングが発生。責任者である課長の島と上役の中沢部長が、元日に大阪で開かれる取引先の新年会に参加し、謝罪することになりました。

おちょこ
写真=iStock.com/liebre
※写真はイメージです

その席で、酒も入って調子に乗った取引先の面々が、下手に出ざるを得ない島に裸踊りを強要します。

「えっ?」と絶句した後、「それはちょっと勘弁してください」と言う島に対し、「罪滅ぼしに来たんやないんか?」と取引先の社長が大声を上げ、宴席の空気は凍てつきました。

そのとき、「え、何ですか? 裸踊り? それ私の得意芸ですわ‼」と中沢部長が名乗りを上げ、自ら進んで全裸となって「かっぽれ」を披露。島の窮地を救うとともに、その場を見事に盛り上げたのです。