「島耕作」は出世を捨て、左遷を選んだ
『課長 島耕作』にこんなエピソードがあります。
島はあるとき、直属の上司であった福田部長に命じられ、社内で行われていたスパイ行為を暴き出すことになります。それで福田部長から高く評価されることになりました。
しかし、結果として島は派閥争いに巻き込まれてしまいます。福田部長は、専務取締役の宇佐美を推して出世を果たそうとする、「宇佐美派」の急先鋒だったのです。そして、宇佐美派に島を取り込もうと画策し始めます。
しかし、島はこの後、宇佐美派に属すつもりはないことを福田部長にハッキリと告げ、宇佐美派のライバルである「大泉派」からの誘いも断って一匹狼となることを選びます。
派閥の実力者たちににらまれたことで、島は、本社から京都の工場へ左遷されてしまうのです。
「出世したくないのか?」
派閥入りを拒否した後、同期入社の人事部社員・小笠原が島に、「出世したくないのか?」と問いかけます。
そのとき、島はこう答えました。
いやな仕事でえらくなるより、好きな仕事で犬のように働きたいさ──。
島は、上司にへつらって評価されることや、派閥という群れに加わって出世することを拒み、たった一人になったとしても、自分が納得できる仕事をすることを選んだのです。