「安倍氏は反米ではなかったし、親ロシアでもなかった」

ロシアの政府系テレビ「第1チャンネル」の政治討論番組「グレート・ゲーム(ボリシャヤ・イグラー)」も、事件当日のモスクワ時間17:00(日本時間22:45)からの放送で早速報じています。この番組は、本年2月24日にロシアがウクライナに侵攻した後は、クレムリンが諸外国にシグナルを送る機能を果たしています。

国家院(下院)議員で、モロトフ元ソ連外相の孫であるヴャチェスラフ・ニコノフ氏は、こう語りました。

〈今日、安倍晋三・元日本国首相が暗殺された。安倍氏は、日本で最も高名な政治家の1人である。この人物は、日本の歴史で誰よりも長い期間、首相を務めた。またロシアと日本の関係でも、特に経済関係で多くの業績を残した。そして本気で、領土問題の解決に取り組んだ。〉

〈安倍氏は、日本で最も偉大な政治家の1人である。最も偉大だと言ってもいい。過去数十年の日本の歴史で、安倍氏ほど長期間、首相の座にとどまっていた人はいない。彼は日本政治で時代を画した政治家だった。

安倍氏は、日本で最も影響を持つ政治家一族に属している。日本で影響があるのは、第一世代の政治家ではない。安倍氏の父は政権党である自由民主党の幹事長で、外相だった。安倍氏自身も力のある政治家だった。安倍氏は日本では珍しい、自立した政治家だった。

私は首相になる前の安倍氏と会ったことがある。当時、年2回、ロ日間の副次的チャネルでの対話が少なくとも年2回行われており、私もメンバーだった。安倍氏がそれに参加したことがある。

安倍氏は独自の思考をしていた。日本の知識人と政治家は、しばしば米国の立場を自分の見解のように述べる。しかし、安倍氏はそうではなく、自らの理念を持っていた。もちろん安倍氏は反米ではなかったし、親ロシアでもなかった。偉大な政治家として独自の行動をした。

現実としても、ロシアと日本の関係発展のために重要な役割を果たした。プーチン大統領が安倍氏の母親と妻に、感情のこもった哀悼の意を表明したのも偶然ではない。実に偉大な政治家で、日本の歴史に道標を残した。〉

2014年3月5日、京都の町に貼られた安倍晋三氏のポスター
写真=iStock.com/winhorse
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ニコノフ氏は、ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長のペレストロイカ政策や、エリツィン・ロシア大統領の改革政策を積極的に支持した知識人ですが、現在はプーチン大統領のウクライナ侵攻を正当化する論陣を張っています。