2040年、日本の国民皆保険制度は存続しているか

老後にどれだけの資金がいるか、2000万円問題が話題になりました。しかし、あの2000万円というのは、死ぬまで医療保険をいまの条件で使用できるという前提です。万一、財政破綻によって国民皆保険制度がなくなったとしたら、4000万円でも済まなくなるでしょう。

国民皆保険の開始は1961年です。高度経済成長の始まりのころに制度設計しているので、働く人も増えて、日本のGDPが上がっていくことを前提にした制度になっています。日本経済が右肩上がりに伸びていた時代にはそれでよかったのですが、いまの日本の状況とはまるっきり違います。

さらに医療費とは別に、2000年からは介護費も入ってきて、国の社会保障費はどんどん増えています。年金、医療、福祉をまとめたグラフはとんでもない右肩上がりです。いまは完全に日本経済の衰退期に突入しているというのに、制度として修正が効いていません。そこも大きな問題です。

2021年度の社会保障給付費は129.6兆円。国の歳出の約3分の1を占め、過去最高。もう待ったなしの状況です。社会保障費が、財政を圧迫している。もし社会保障制度が瓦解がかいしたら、医療、介護のみならず、年金や福祉の保障もなくなり、国民が安心して生活していくためのセーフティーネットが機能しなくなることを意味しています。

いまのままでは日本の医療制度は破綻する

20年後、はたして国民皆保険制度、日本の医療制度は存続しているでしょうか。いまのままのようなことをやっていたのでは、間違いなく破綻します。

日本の医療制度は問題だらけです。問題だらけではありますが、社会保険制度がしっかり構築されていてすべての人が公的医療保険に加入していて、医療費の心配をしなくても必要な医療サービスが受けられるのは、やはりよい制度だというべきだとも思っています。

この制度を今後も長く継続させていくためには、国民一人ひとりが医療に対する意識変革をして、模索していくしかないのではないでしょうか。