効果があるのは高齢者だけではない
「有酸素運動? そんなのは高齢者とか認知症予防に効果があるだけなんじゃないか?」と言われそうですし、有酸素運動関係では高齢者での研究や認知症予防をテーマとした研究が比較的多いのは確かです――認知症の兆候は30~40代から(場合によっては10代や20歳頃から)出てきますから、認知症予防は決して高齢者に限って重要なわけではありませんが……。
認知症はともあれ、若年成人でも中年成人でも、特に前頭前野の老化は起きますし、長引くストレスや不安などで前頭前野が委縮することは若い人でもあります。
若年成人や中年で発症することが多いうつ病でも前頭前野の血流量が減り、前頭前野が委縮することもあります。そうした背景もあって、有酸素運動と前頭前野の構造・機能との関係を若年~中年成人で調べた研究もかなりあって、それらの結論は以上に述べたものと同様です。
例えば、20代前半の若年成人が10分間の中程度のランニングで、前頭前野が活性化し前頭前野の認知機能が向上したという研究も比較的最近でもあります。有酸素運動によって、若年~中年成人でも前頭前野が若返り、前頭前野の知能・認知機能が向上する、ということですね。精神健康も当然ながら向上し、不安や抑うつなどが改善します。
ただ、当たり前かもしれませんが、若年・中年層で効果的なのは高齢者よりも強い有酸素運動で、具体的には毎日20~30分ほどのジョギングやランニングです(20代前半では前頭前野が未熟なせいもあって10分でも可:高齢者では毎日20分ほどのウォーキングですね)。