簡単に成長株を探せる3つのステップ

①Excel(筆者作成)を使って3期平均の増益率を求める
②PER対応票(筆者作成)で目標PERを調べる
③目標株価を計算する(自動計算)

ここからはちょっと“アナログ”な判断が必要です。

私が作成したExcelの中のPER対応表から目標PERを独自で判断していきます。

①Excel(筆者作成)を使って3期平均の増益率を求める

『会社四季報』の業績欄から前期→今期予想→来期予想の営業利益を入力して「3期の平均増益率」を計算します。

ここでは3期平均の増益率が15%という企業があったとしましょう!

②PER対応票(筆者作成)で目標PERを決める

PER対応表の縦列の増益率5%〜70%の中から、最も近い「%」を選択します。

対応表の横軸には1年目から5年目までの枠があり、増益率ごとに2段表示になっています。PER対応表が何を計算しているかというと、例えば増益率15%の利益成長が今後1年~5年続いた場合、営業利益が0年目の何倍まで増えるかを複利計算した数字が上段に表示されています。

現在1に対して、1年後に15%成長したら営業利益は現在の1.15倍になります。さらに1年後に15%成長すると、「1.15×1.15=1.3225」となり、小数点第2位以下を四捨五入すると、約1.32倍になります。3年目は1.52倍、4年目は1.75倍、5年目は2.01倍と増えていきます。つまり15%増益をずっと続けていけば、5年後にその企業の営業利益は現在の2倍以上になる、ということです。

PER対応表の各増益率の下段に表示されているのは、毎年増える営業利益を株価が織り込むとしたら、PER何倍まで許容されてもいいかを計算したものです。PERの基準値は15倍に設定しています。その15倍に上段で計算した営業利益の伸び(倍率)を単純に掛け算したものが下段の「目標PER」の欄に表示されます。

何年後の成長を見越して株を買うべきか

③目標株価を計算する(自動計算)

最後に、Excelに目標PERを入力すると、目標株価を計算することができます。ただ、何年目の目標PERを採用するかは悩むところです。

仮に15%の増益率が1年続けば営業利益は1.15倍になります。もし株価が、1年後に1.15倍となる利益の成長を織り込んだ水準まで買われるなら、「PERの基準値15倍×増益倍率1.15倍=17.3倍」。PER17.3倍まで買われてもおかしくない、ということになります。

相場が好調だったり、企業の利益成長に対してさらなる上ブレ期待があれば、2年〜5年後の利益水準を織り込んで上昇することもあります。増益率15%を5年連続で続けると、5年後の利益は現在の2倍まで増えます。

株価チャート
写真=iStock.com/blackred
※写真はイメージです

「その程度の成長は達成できる、もっと成長してもおかしくない」と投資家が考えているなら、「15倍×2倍=30倍」となりPER30倍という水準まで株価が買われても、計算上はおかしくないのです。

株式投資は未来の成長に対して投資をしていきます。

中長期の投資家は常に数年先(3〜5年程度)を見て投資しているといわれています。その目安の数字を一目で探せるのが、先述の目標PER対応表です!

ただし、高い利益成長を継続するのは難しく、不確実性が高まります。「他の投資家が、何年先の利益まで見て、その銘柄に投資しているか?」は、過去の実績値からある程度推測できますが、正確にはわかりません。

加えて、PER倍率が高くなれば、株価の割高感を意識する投資家が増えるので、ちょっとした悪材料や、好材料が出尽くしたりするだけで株価が大きく下落するリスクも高くなります。

対応表では利益成長が「1〜5年間続いた場合の妥当なPER倍率」という形でかなり幅を持たせています。より精度や安定性を高めたいと思うなら、1年目や2年目ぐらいの目標PERで目標株価を計算したほうが無難です。なるべく無難に設定しても、目標株価が高い場合は株価上昇の確率は高まってくるでしょう!