売れている商品・サービスは、30秒で顧客に買いたいと思わせることができるくらい、「理想」「課題」「価値」「方法」を明確にし、顧客に提示しています。

あなたは、自分の営業する商品・サービスの「理想→課題→価値→方法」を明確に伝えられるでしょうか。

もしぼんやりとした言葉でしか表現できないようなら、一度、30秒のテレビCMの絵コンテを自分で描いてみるといいでしょう。

「仕事ができる営業」と「できない営業」の決定的な違い

STEP④「顧客事例」で「ストーリー営業」を進化させる

STEP③では、「理想」や「課題」を一般化し、多くの顧客に当てはまるような「ストーリー営業」について紹介しました。この方法を実践するだけでも、旧来型の営業スタイルからは大きく進化することができます。

しかし、さらに成果を高めたいなら、最終的には顧客に合わせて最適化されたストーリーを提示するのがベストでしょう。

とはいえ、一社一社、一人ひとりの顧客に合わせて仮説を考えるのはとても難易度が高いです。営業の世界では以前から、商談前に、顧客のホームページやリリース情報をもとに、「理想」や「課題」の仮説を立てることが推奨されてきました。しかし実際に、顧客に合わせて「理想」や「課題」をゼロから設計できる営業担当者は非常にまれです。

では、どのようにして一社一社、一人ひとりに合った仮説を提案すればいいのでしょうか。

ここで私が勧めたいのが「顧客事例」の活用です。

どのような商品・サービスでも、顧客の「理想→課題→価値→方法」というストーリーは、いくつかのパターンに集約されます。であれば、顧客が置かれている状況に近い事例を紹介することで、顧客自身にストーリーを喚起してもらうといいでしょう。

一流の営業は顧客に合った過去事例を活かす

これまで私は、様々な企業の営業変革プロジェクトに携わってきました。その中で、ハイパフォーマー(高い成果を出している営業担当者)とローパフォーマー(十分な成果を出せていない営業担当者)の違いを調査・分析して分かったことがあります。両者の違いを生み出す要因は多くの場合、「顧客事例の活用」にあるということです。

ハイパフォーマーは、顧客に合った過去の事例をうまく活用できていますが、ローパフォーマーはそれをうまく活用できていなかったのです。紹介する事例を、顧客の共感を呼び起こす内容にすることも重要なポイントです。

がっちりと握手を交わすビジネスパーソン
写真=iStock.com/franckreporter
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