これから「営業」という仕事はどうなるのか。ナレッジワークCEOの麻野耕司さんは「営業という仕事は単なる商品・サービスの『売り込み』ではない。お客に『今は買わない方がいい』と伝えられる人であれば、今後も営業として生き残ることができるだろう」という――。

※本稿は、麻野耕司『NEW SALES 新時代の営業に必要な7つの原則』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

転職サイト「ビズリーチ」
画像=転職サイト「ビズリーチ」より

「売り込み」を続ける営業は生き残れない

「営業」という仕事に、どんなイメージを抱いていますか。

私がSNSで「営業と聞いて思い浮かぶ人は誰ですか?」という投稿をすると、多くの人が著名なテレビ通販の創業者の名前を挙げました。

「ちょっと奥さま、見ていってください」
「この包丁は切れ味が鋭いんです」
「今からこの大根を切ってみますね」
「ほら! こんなにスパッと切れるんですよ」
「今ならこの商品がなんと9980円」
「とてもお買い得です」

「営業トーク」というと、一般的にはこんな「売り込み」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

「売る」ことが営業の重要な役割であることは間違いありません。しかし現在、幅広い業界で営業に求められる仕事は、もはや「売り込み」ではなくなっています。

本稿では、営業という仕事の役割が、「売り込み」からどのように変わっているのかを紹介します。

「プロダクト営業」から「ソリューション営業」へ

かつて、営業という仕事の主な役割といえば、自社の商品・サービスの機能や性能に関する情報を顧客に提供することが中心でした。

例えば企業向けの教育研修プログラムを売り込むなら、どんな教材を使い、どんな講師が授業をするのかを説明することが、営業の仕事だったわけです。個人向けに生命保険を売り込むなら、保険料や保障内容を紹介することが主な仕事とされていました。

しかし今では、顧客は営業担当者が商品やサービスの情報を伝えることだけでは満足しなくなっています。