中国企業とのビジネス交渉をうまく進めるにはどうすればいいか。国際弁護士の射手矢好雄さんは、「中国企業は、金銭的利益が第一であることが多く案外簡単だ。特殊な法律を盾にしてくる場合は『では取引しない』と突き放してしまえばいい」という――。(第1回/全3回)

※本稿は、齋藤孝・射手矢好雄『BATNA 交渉のプロだけが知っている「奥の手」の作り方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

弁護士の交渉成立
写真=iStock.com/AmnajKhetsamtip
※写真はイメージです

ハーバード流「交渉の7つのカギ」

わたしはこれまで、国際弁護士として数々の中国企業との交渉に携わってきました。

その経験からいえることは、中国企業との交渉は一般的に難しいといわれますが、「交渉の7つのカギ」で対応すると、その交渉も容易になるということです。

わたしが学び、実践してきた「ハーバード流交渉術」では、交渉の要諦として以下の「交渉の7つのカギ」と呼ばれる概念があります。

①利益
「自分はこの交渉でなにを実現しようとしているのか」「自分にとって本当に大切なものはなにか」を指します。もちろん自分だけでなく、交渉相手にも〈利益〉があります。

②オプション
自分の〈利益〉を実現するための選択肢を指します。いわば、「どんなやり方があるか」ということです。こちらも同じように、交渉相手にも〈利益〉を実現するための〈オプション〉があります。

③根拠
その〈オプション〉を取る理由のことです。「自分はなぜその方法を取るのか」には、必ず理由があるはずです。その〈根拠〉を具体的かつ明確にすることで、選択の際に生じがちな「思い込み」をなくすことができます。

「この交渉が成立しなかったら」を考えておく

④BATNA
〈BATNA〉(バトナ)は、Best Alternative To a Negotiated Agreementの略で、交渉が成立しないときに取るべき「最良の代替案」を指します。「それがダメでもこの手があるさ」ですね。交渉するときはつねに、「この交渉が成立しなかったらどうするか」を考えて、交渉に臨むことが大切です。

⑤関係
自分と交渉相手が「どんな関係にあるか」です。例えば、交渉をはじめる前に、長年いい関係性が築かれている場合もあれば、関係がよくないために交渉開始時点からこじれていることもあるでしょう。交渉の中核ではないものの、〈関係〉は交渉にインパクトを与える要素といえます。