サウナバスの発起人で、「神姫バス株式会社」より出向起業した会社「リバース」の代表である松原安理佐ありさは、笑顔で振り返る。

取材に応じる松原さん。いまは出向起業した会社「リバース」の代表。
筆者撮影
取材に応じる松原さん。いまは出向起業した会社「リバース」の代表。

「最初は『面白いからやってみよう』と思って始めたけれど、事例や根拠がなかったので社内へのプレゼンではなかなか自信が持てず、『自分の感覚を信じてくれ』とも言えないので苦戦しました。今は、実際にサウナバスが完成して利用した方の声やSNSで『めっちゃ面白い』『サウナバス最高!』みたいなコメントをいただけると、間違ってなかったんやなぁって思えますね」

松原は会社の事業としてではなく、起業家としてサウナバスを開発した。当時の年齢は28歳。入社5年目にして、なぜこの道を歩んだのだろうか。キーワードは、「人を喜ばせることがしたい」という思いだ。

サウナ室は4列ある木製シートがバスの乗車席と同じように正面を向いて並んでいる。
筆者撮影
サウナ室は4列ある木製シートがバスの乗車席と同じように正面を向いて並んでいる。

「私って、人に喜んでもらうことが好きなんだなぁ」

松原は1993年、兵庫県姫路市に生まれた。子どもの頃は「とにかく恥ずかしがり屋」で、人前に出るのが苦手だった。自分に自信が持てない幼少期を過ごすが、高校、大学への進学の中で少しずつ性格に変化が生じていく。

高校時代はバトントワリング部に所属し、今でも交流が続くほど、かけがえのない友人と出会った。バトントワリングとは、ゴム製のおもりをつけた金属の棒(バトン)を回したり、空中に投げたりする演技のこと。

週末には、地元のサッカーチームの試合でハーフタイムにパフォーマンスをしたり、商店街でマーチング・バンドと共に踊ったりした。練習の一環でチアダンスにも挑戦し、野球部の応援団に加わり、賑やかで楽しい高校生活を送った。

大学時代はテニスサークルに所属。飲み会やイベントの幹事を行うことで、何かを企画することが好きになった。イベントを楽しむ仲間の姿を見ながら、「私って、人に喜んでもらうことが好きなんだなぁ」と思うようになる。