民主主義の将来像

【斎藤】経済的利便性や、国家的利便性はいったんわきに置き、どのような社会を私たちは今後作っていきたいのか。ビジネスの第一線で働く方々だけでなく、高齢者や、女性、若い世代や外国人、あらゆる視点や立場をとりいれて考えるべきですね。

【堤】まさに、それこそが政策決定プロセスにおける民主主義の本質ですね。存在感を高めた台湾が、あえて若い世代と高齢者に政策提言をさせているように、日本でもビフォアデジタルに生きてきた高齢層が、Z世代に託せる財産が実は思った以上にたくさんあるんですよ……という本が、ちょうどもうすぐ書き上がるところです!

デジタル化のすてきなところは、これが、誰もが立場や条件に関係なく「当事者」になれる歴史的シフトだということでしょう。

おまかせではなく「当事者意識」を持った時、私たちはスマホ脳で自動運転になってしまった「考える力」をとり戻し、自分たちの手で未来を変えていくことができるからです。

斎藤幸平氏×堤未果氏
撮影=増田岳二

【斎藤】今こそ、本腰を入れて「民主主義」社会の将来像を語り合っていきたいですね。

今日は本当に勉強になりました。ありがとうございました。

(構成=三浦愛美)
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