臭くない「うんち」はありえない

自分のにおいを気にしていたうんち君に、元気が出てきたようです。

「そのとおりだ。細菌がエネルギーを得るために、酸素を用いないで栄養素を分解することを発酵という。発酵は腸内細菌だけでなく、消化管の外にすんでいる多くの細菌もおこなっている現象だ。ヒトは種々の食べ物を加工する経験を積み重ね、細菌によるこの発酵を利用してきたんだよ」

増田隆一『うんち学入門』(ブルーバックス)
増田隆一『うんち学入門』(ブルーバックス)

「たとえば、味噌、醬油、納豆、酒、ワイン、ヨーグルトなどの食品や飲み物は、すべて発酵によってつくられている。これらの食品に特有の香りは、細菌による発酵によって生み出されている。『うんち学入門 生き物にとって「排泄物」とは何か』で、腸内細菌のはたらきについて、もっと詳しく考えていこう」

「『うんち』について少しずつわかってきたよ。次の旅が楽しみだ!」

じつは「うんち」には、腸内細菌が放出したにおい物質の他にも、「うんち」の落とし主が意図的に混ぜる「においのある物質」が含まれていることがあります。

その「におい」には、動物が生きていくうえで大切な役割があることが解明されつつあります。積極的に排泄された「うんち」のにおいが、動物個体間や種間のコミュニケーションのために大いに役立っているのです。

「うんち」は特有のにおいをもっているからこそ意味があり、そのにおいは「さまざまな生命活動の合作」としてできあがった個性であるといってもよいかもしれません。うんち君も、そのことがだんだんとわかってきたようです。

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