まずは、51%の真心と、49%の下心でいい

では、どうすればいいのでしょうか?

私は、「99%の真心と1%の下心」というスローガンをおすすめしています。下心は、あっていいのです。

むしろ、売りたいという本音は隠さなくて構いません。

「この場で決めていただけたら……嬉しいのですが」と伝えてもいいのです。

でも、それ以上にお客さまの立場で提案したり、お客さまのためになることは何だろうと考えて行動する割合を増やしたりしていくことで、営業はラクになり、結果もついてくるようになります。

まずは、51%の真心と、49%の下心。

「あわよくば契約につながったり、他のお客さまにつながったりしたらいいなぁ」というくらいのスタンスで、営業をしてみることをおすすめします。

真心というのは、お客さまにへりくだってご機嫌を伺う、ということではありません。自分が相手のためにできることを考えてみる、その割合をだんだん増やしていきましょうということです。

営業トークをそのまま家族にできるか

例えば、お客さまの話を真剣に聴くことだってその一つです。

もしもお客さまが自分の家族だったら、親友だったらどんな提案をするのか?

自分がお客さまの立場だったら、どのような関わりをしてもらえたら嬉しいか?

そのように考えて動くことが真心による行動です。値段も機能も考慮した上で、ベストな提案は一つ。でも、予算感や優先順位で、2、3の選択肢があったほうが決めやすいでしょう。

本音を交ぜながら、お客さまのことを考えるとはどういうことか?

これは、「今の営業スタイルのままで、家族に話したり、提案したりできるか?」が基準としてわかりやすいと思います。

あなたがいつもしているままで、家族をはじめとする、あなたの身近で大切な人に伝えられますか? ということです。

無理なく続けるには自然体であるべき

私が尊敬する経営者のお一人であるB社長は、創業した会社を上場まで導き、その後は完全に事業転換をされ、新たな分野で活躍をされています。

B社長はどうして事業転換をされたのか? お話ししてくれたのがこんなことでした。

「会社を上場させた時には、『すごい活躍だね』とまわりに祝福されたけど、正直、きつかったなぁ。誇りを持って事業を行ってはいたけど、じゃあ、家族にそのサービスを使ってもらうとなるとちょっと……って躊躇しちゃってたなぁ、正直。利益を追求したり、規模を拡大したりっていうのは、企業としては正当なこと。だけど、それが『お客さまに本当に喜んでもらいたい』っていう気持ちからきていたかというと、だいぶ違っていたかなと思うんだ。

でも、今は『必要としてくれる人たちのために』っていう思いから事業を組み立てて、社員やパートナーにも還元できているっていう自負もあるし、うちの商品をぜひ使ってほしいと心から納得感があって仕事ができているんだ! 家族に提案どころか、良い事業じゃないかって、妻や父にも手伝ってもらっているくらいだよ」

この考え方は、営業でも同じことが言えます。やはり、無理なく続けていくことを考えると、自然体をベースにして、お客さまと接していく方法が一番満足度も高く、いい結果につながると私は考えています。