立憲民主党は衆院選に続き、参院選でも惨敗か
野党がこの流れを変えるには、参院選にむけて主要争点をイデオロギー先行の安全保障から国民生活に直結した経済政策に取り戻すしかない。そのためには格差拡大や物価高に対する自公政権の無為無策を徹底的に批判し、国民の怒りに火をつけなければならない。
ところが野党第1党の立憲民主党の腰が定まらない。
昨秋の衆院選で惨敗し創始者の枝野幸男代表が辞任。後継の泉健太代表は「野党は批判ばかり」との批判を恐れて「提案型野党」を掲げた。これが不発に終わった。
今年1月に開幕した通常国会は格差拡大や物価高が国民生活を直撃しているにもかかわらず与党ペースで淡々と進み、内閣支持率は上昇の一途をたどった。立憲民主党は最大の対決法案とみられた経済安全保障推進法案にも安全保障論の高まりのなかであっさりと賛成したのである。
私は1999年に朝日新聞政治部に着任して以来、20年以上にわたって通常国会をウオッチしてきたが、野党が当初予算審議で政権の失政やスキャンダルを激しく追及し、上半期の内閣支持率は下落傾向をたどるのが常だった。
今年ほど疑惑追及も対決法案もなく波静かに予算審議が終わり、内閣支持率が上昇していくのは極めて異例だ。泉代表が掲げた「提案型野党」は自公政権を利し、野党の存在感は霞むばかりで、「自民一強」をお膳立てしてしまった。参院選を前に自滅したといってよい。
立憲民主党は昨秋の衆院選に続いて今夏の参院選でも惨敗し、四分五裂して野党再編に発展するという見方が強まっている。参院選前から戦線崩壊している野党各党の厳しい現況を整理しつつ、参院選後の野党再編の行方を展望したい。
後ろ盾を失った維新への逆風
日本維新の会は昨秋の衆院選で41議席を獲得し第3党に躍進した。コロナ対策でマスコミ露出度を上げた吉村洋文・大阪府知事が創始者の橋下徹氏に代わる「党の顔」として定着し、「若さ」を全面に掲げるイメージ戦略で立憲民主党に代わって政権批判票の受け皿となることに成功したといえる。マスコミ各社の世論調査の政党支持率では一時、立憲民主党を上回った。