一方で、自公与党も立憲や維新など他の野党も敵に回して独自の戦いを展開する体力はない。現時点で衆院3人、参院2人の少世帯。参院選でもすべての複数区への候補者擁立を目指したものの断念し、今回の参院選で議席を大幅に積み増して主要政党の一角に躍り出るのは難しそうだ。
野党総崩れの根本原因
野党総崩れの状態を招いたのは、ひとえに野党第1党の立憲民主党が自公政権との対決姿勢を鮮明にせず、党勢が凋落して求心力を失った結果、各党が野党共闘による政権交代に活路を見いだすことができず、独自の党勢拡大に走るしかなくなったからである。
かつて民主党は「自民党に対抗する野党第1党」という旗印のみで、さまざまな勢力を束ねて政権を奪取した。民主党政権崩壊後、彼らは離合集散を繰り返し、その多くはいま立憲民主党に身を寄せているが、もはや野党第1党という看板以外に何を実現するための政党なのか、存在意義を失いつつある。
民主党政権下で自公と消費税増税で合意した野田佳彦元首相ら党重鎮たちに遠慮し、財政規律を重視する岸田政権に対抗して「消費税廃止」を打ち出せず、「時限的に消費税率を5%に減税」という中途半端な政策にとどまっているのは、立憲民主党の影の薄さを象徴している。
立憲民主党の衆院議員の多くは、すでに参院選惨敗を織り込み、次の衆院選で立憲のまま勝ち残れるとは考えていない。参院選後の野党再編をにらみ、連合に依存しなければ選挙を戦えない連合派、立憲に代わって野党第1党の座を目指す維新に近づく維新派、れいわを軸に野党再編をめざすれいわ派に三分裂しつつある。
立憲は野党第1党としてすでに敗北した
このうち連合派と維新派は自公政権との対決姿勢を鮮明に打ち出すことにためらいがあり、立憲の存在感をいっそうぼやけさせている。
紆余曲折を経ながら、消費税廃止や積極財政に共感する立憲若手がれいわと合流し、自公と真っ向対決を挑む新たな野党が誕生するというシナリオが野党再建への最短距離ではないか。
自民圧勝が動かし難い今夏の参院選。立憲民主党は野党第1党としてすでに敗北したといっていい。今後の野党再編を主導するのは、維新か、連合か、れいわか。参院選は野党の主役の座を競うレースとなろう。